
株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)は、日立グループにおけるデジタルシステム&サービス分野の中核企業として、お客さまとの協創をベースに、最先端のデジタル技術を用いたさまざまなソリューションを提供している。
また、アプリケーションやサービスの開発から導入、インフラ構築まで、国内外の幅広いプロジェクトをワンストップで展開している。
近年は「DX by AX toward SX」のコンセプトのもと、AIを起点としたDX推進と持続可能な社会の実現をめざす中、デジタルマーケティングの強化にも注力。しかし、セミナー運営においては顧客データの分散やアナログな管理体制が課題となっていた。
そこで同社は2022年に、toBeマーケティングが提供する「セミナー管理パッケージ」を導入。SalesforceおよびAgentforce Marketing (Account Engagement)を活用した一元管理により、セミナー運営業務の自動化と標準化を実現。これにより、属人化を解消し、誰もが円滑にセミナーを運用できる体制を構築。
■ 設立:1970年9月21日
■ ITソリューションを通じた企業・社会インフラのシステム開発・導入
■ 従業員数:5,162名(単独)・14,869名(連結)
(2025年9月30日時点)
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日立ソリューションズでは、商材を軸にプロモーションやマーケティングを担っているのが、営業統括本部に属するデジタルマーケティング営業本部だ。デジタルマーケティング営業本部では、リード獲得から案件化までを見据えた一体的なマーケティングを展開。セミナー運営をはじめ、イベント・展示会支援、メルマガ配信などの実務を行う。今回は、セミナー管理パッケージの導入を主導した同本部の山本由香氏と栗原啓志氏に、導入の背景と具体的な効果について話を伺った。

同社におけるSalesforceが提供するCRMプラットフォームの導入は2005年頃に遡る。当初の活用範囲は一部の部門に限定されていた。セミナー運用においてもSalesforceは活用されておらず、自社でフォームを内製するなど、独自の仕組みで対応していたという。
転換点となったのは2010年代半ばだ。「営業全体、さらには全社員でSalesforceを活用する」という方針のもと、全社的なシステム刷新が進められた。さらに、2020年頃には営業活動におけるSFA(営業支援システム)の活用基盤が整備され、次のステップとしてデジタルマーケティング強化の検討が本格化する。
そこで、データの一元管理と単一システム上での運用実現を目的に、Salesforceと親和性が高く、同社が提供するMAツールであるAgentforce Marketing (Account Engagement)が導入された。
「ちょうど同時期に、従来利用していた自社開発のセミナー運用システムのサービス終了が重なり、セミナー管理の運用の見直しも求められていました」と山本氏は振り返る。
全社的なシステム刷新により基盤整備が進む一方で、セミナー運営の実務には依然として課題が残っていた。山本氏は「当時は顧客データが複数システムに分散しており、情報の一元管理やセキュリティ、個人情報保護の観点でも不安を抱えていました。また、セミナーのたびに個別フォームを立ち上げる必要があり、アナログな運用に依存せざるを得ない状況でした」と話す。
このような課題を解決するために採用されたのが、すでに導入済みのAgentforce Marketing (Account Engagement)を活用し、セミナー運用を一元管理できるtoBeマーケティングのセミナー管理パッケージだった。
現在、同社ではセミナー管理パッケージを活用し、自社主催の商材セミナーを年間40回ほど実施しているという。申し込み情報はSalesforceに自動でリード登録される仕組みとなっており、セミナー告知のページ作成から受付フォーム、申込者の管理やフォローに至るまで全てSalesCloud×Agentforce Marketing (Account Engagement)にて業務が完結する仕組みが実現できた。
toBeマーケティングを選定した背景には、従来からの協業関係に基づく技術力への高い信頼があった。
山本氏は「元々、toBeマーケティングにはAgentforce Marketing (Account Engagement)の技術支援を担ってもらっており、高い専門性と豊富な企業支援の実績がある点に魅力を感じていました。また、当時はデジタルマーケティングの体系化自体が十分に進んでおらず、コンサルティングも含めて全体設計を検討している段階でした。その中でtoBeマーケティングからセミナー管理パッケージの提案を受け、比較的スムーズにサービスを導入できる点が決め手となりました。」と話す。
栗原氏も次のように補足する。「社内にSalesforceの運用部隊はありましたが、Agentforce Marketing (Account Engagement)の専門知見を持つ人材が不足していました。以前から関係性があったtoBeマーケティングだったからこそ、今回のパッケージ導入もスムーズに進んだと考えています。」
導入は2022年5月頃に開始し、初期の約3カ月でパッケージによるセットアップを実施した。
「toBeマーケティングのコンサルタントの方々に、初期の標準化・設計段階から支援を受けられた点は私たちにとって大きな助けとなりました。」と導入当時を振り返る山本氏。
その後は、同社の事業規模や既存システムとの整合性を踏まえ、業務特性に合わせた段階的なカスタマイズが進められたという。

山本氏は、カスタマイズが必要となった理由について次のように説明する。
「当社は約300種類もの商材を扱っており、常に複数の施策が並行して動いています。そのため、標準テンプレートのままではお客さまの行動状況を十分に管理することが難しく、実際の運用に即した形への調整が不可欠でした。」
セミナー管理パッケージは、初期パッケージのまま活用できるケースも多いが、企業の規模や状況によっては個別最適化が効果を発揮する場合もある。toBeマーケティングは単なるツール提供にとどまらず、導入後の活用支援まで一貫して伴走することで、各社の実情に即したサービスを提供している。

日立ソリューションズでは、セミナー管理パッケージの導入により、申し込み受付から確認メール送信、キャンセル対応、ステータス更新までの一連の業務を自動化した。その結果、業務効率化と標準化を大幅に推進。さらに、分散していた顧客データをSalesforceに集約したことで、セキュリティや個人情報保護の観点でも改善が見られている。
栗原氏は導入の効果について次のように話す。 「テンプレートを活用することで、専門的なスキルがなくてもセミナー申し込みページの作成やセミナー登録が可能になりました。簡単なマニュアルがあれば、入社数カ月で一通りの業務をこなせるようになります。協力会社にもセミナー運用を担ってもらっていますが、複数社による共同体制下でもスムーズな運用が実現しました。」
また、システム間のデータ移行作業がほぼ不要になったことで、人的ミスも大幅に減少した。
「かつてはデータ移行などでヒヤリとする場面もありましたが、現在は安心して運用できています。」と栗原氏は語る。
Salesforceにデータを一元管理することで、データの「見える化」も進んだ。ダッシュボードの活用により、全体の俯瞰分析から個別データの詳細確認までが容易になっている。
「誰にいつコールしたかといった履歴もすべてSalesforceに蓄積され、一目で確認できます。セミナー情報を含めて一体的に可視化できるようになったことで、次の施策検討にもつなげやすくなりました。」
さらに同社では、さらなる自動化を追求するため、自社の開発部隊と連携した独自カスタマイズも実施しているという。栗原氏は次のように説明する。
「パッケージだけではカバーしきれない業務については、自社で自動化を進めました。当社には業務自動化ツール『Workato(提供元:Workato株式会社)』を扱う開発部隊があり、彼らと連携して独自の仕組みを構築しています。」
具体的には、配信基盤のZoom、セミナー管理パッケージ、Salesforceの3つを連携させた。申し込みが入ると自動でZoomへの登録が完了し、配信終了後には参加・不参加のステータスが自動的にSalesforceへ反映される仕組みを整えたという。
このカスタマイズにより、従来は難しかったセミナー当日の申し込みに対しても対応可能となり、現在では開始2時間前までの申し込み受付が可能な体制を構築している。

同社では、業務の自動化を推進し、人にしかできない分析などの業務に注力できる体制づくりを進めている。そのための第一歩となったのが、セミナー管理パッケージの導入だった。
現在は属人化せずに運用できる体制が整い、一定の成果も可視化された段階にある。山本氏は「その上で、次のステップとして挙げられているのが『質の向上』です。」と今後の展望を語る。
今後はリードの質やセミナーそのものの価値をどのように評価し、次の施策へ反映していくかが重要なテーマとなる。現状でもアンケートツールを活用した評価は実施しているが、その結果を施策へどう組み込むかが課題だという。システム間の連携はスムーズに行えているものの、システム自体は独立しているため、より高度なカスタマイズなど、さらなる改善の余地も残されている。
さらに見据えるのは、CVR(コンバージョン率)のさらなる向上だ。「今後はセミナー管理パッケージのUI改善を進め、より効果的な導線設計をめざした議論を重ねていく予定です。」と栗原氏は話す。それに加えて、セミナー後のアーカイブ動画の活用にも注力していく方針だ。
「2年前から、セミナー後にアーカイブ動画を公開する取り組みを進めています。現在はセミナー管理パッケージを活用して、申し込みページの作成や一覧公開を行っていますが、今後はリード育成や商談化につなげていきたいと考えています。」
アーカイブ配信を含めると、実質的な配信本数は年間70〜80本規模にのぼるという。
同社は今後、セミナー管理パッケージと各種ツールをさらに深く連携させ、実施後の評価・分析までを一貫して管理できる環境の構築をめざす。Salesforce単体では対応しきれない領域も、最適な仕組みを統合していくことで、より高度なデータ活用の実現を見据えていく。
最後に、導入を検討する企業へのメッセージとして、山本氏と栗原氏は次のように語った。
山本氏は、「セミナー運営は工程が多く、仕組みが分断されると運用負荷が膨大になります。私たちはSalesforceとAgentforce Marketing (Account Engagement)の連携で一元管理を実現できましたが、まずは自社の業務のあるべき姿を整理し、標準化を進めることが第一歩だと思います。toBeマーケティングは設計段階から伴走してくれるため、標準化に課題を抱えている企業にとって非常に心強い存在です。」と話す。
栗原氏も同様に、「人の入れ替わりが激しい昨今、業務の標準化と管理のシンプル化は避けて通れません。どのようにデータを一元管理してセキュリティを担保するかという課題をお持ちであれば、セミナー管理パッケージは有効な解決策のひとつになるはずです。」と語った。
運用の自動化・標準化という土台を固めた上で、次はリードの質向上とデータ活用の深化へ。同社は今後もtoBeマーケティングとの協業を続けながら、セミナーを起点としたお客さまとの関係構築をさらに高度化させていく構えだ。
※本事例の各種情報は、2026年3月時点のものとなります。