SFAとCRMの違いについて解説 : 役割と機能、選び方のポイントとは
2025.06.09
2025.06.09
企業のDX化を進める一環として導入を検討したい「SFA」と「CRM」。
目にする機会が多くよく似た印象の言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では二つの機能や役割を比較し、スムーズな導入の足がかりとなる情報をご紹介します。
toBeマーケティング株式会社では、Salesforceの導入から活用、運用支援までを幅広くサポートし、
お客様のビジネス成長に貢献いたします。
Sales Cloudの初期構築はもちろん、Account Engagement(旧Pardot)をはじめとする
他のSalesforce製品との連携を見据えた最適なチューニングも可能です。
⇒ Salesforce導入支援の詳細はこちら
さらに、顧客情報基盤の構築や営業活動の効率化、マーケティングとの連携強化を通じて、
データに基づいた意思決定を実現できる体制づくりをサポートします。
⇒ 詳細はこちらよりお気軽にお問い合わせください!
SFAとCRMの役割とは
本章では、そもそもSFA/CRMとはどのようなツールなのかについて概要を説明します。二つのツールにはその役割に明確な違いがありますので、押さえておきましょう。
SFAとは何か?
SFA(Sales Force Automation)は「営業支援システム」と表される通り、営業活動をサポートすることに特化したツールです。主な導入目的は、マーケティングで獲得した見込み顧客のデータを引継ぎ、商談から顧客獲得までのプロセスを効率化することです。
SFAには、営業活動の進捗やスケジュールの管理と併せて、顧客ごとのデータを記録し分析する機能が備わっています。これらの機能を計画的に活用することで、ターゲットに合わせたより適切なアプローチ方法を導き出す手助けとなります。
CRMとは何か?
CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係管理」のためのツールです。主な役割は顧客の基本情報情報(氏名、連絡先、年齢、性別など)を管理するデータベースです。近年では需要の増加に伴って多機能化が進み、顧客の行動履歴やオンラインのトラッキングデータなどを記録できるものが普及しています。
蓄積した顧客データを分析することで、マーケティングや営業活動の支援、顧客体験の品質向上に活かすことが可能です。
営業に限らず、コールセンターやマーケティング部門などさまざまな部署で幅広く導入されています。
SFAとCRMの違いの概要
CRMは、言い換えると「顧客リスト」のようなものと考えるとイメージしやすいでしょう。顧客の基本情報、コミュニケーション履歴など、顧客に関する情報を記録しておき、あらゆるビジネス活動に活用することができます。
一方、SFAは営業活動の支援を主な目的としています。
顧客ごとに異なる営業プロセスの管理、煩雑なタスクの自動化を通して商談の成約をサポートします。そのため、SFAに関わる部門は営業部門、マーケティング部門、その他システムの運用サポートに関わる部署がメインとなります。
近年では、SFAとCRMが一体となり、顧客情報の管理から営業支援まで一元管理できるシステムも普及しています。
代表的な例として、セールスフォース・ジャパン社が提供する「Sales Cloud」があります。これは、SFAとCRMの機能を包括的に備えた統合型のプラットフォームであり、顧客情報の蓄積から営業プロセスの支援、分析・レポート機能に至るまでを一元的に管理することが可能です。
特に、顧客とのあらゆる接点を可視化しながら、営業活動の生産性向上と商談の成約率向上を同時に実現できる点が大きな特長です。
また、いずれのツールにもデータの分析機能やレポート作成機能がついているものが多いため、PDCAサイクルを円滑に回すことも可能でしょう。
SFAの主な機能
ここからは、SFAの具体的な機能についてご紹介します。
営業のスケジュール管理
SFAで管理できる主な営業活動に関わるデータは以下の通りです。
・案件の提案内容
・案件の完了予定日
・商談の進捗とスケジュール
・見積金額
・見積書
・コミュニケーションの詳細な記録
商談の進捗や今後の予定をチームで共有することができるため、マネージャーは新規の案件を適切な担当者に割り当てることが可能になります。
また、アポイント数や訪問数など、各種営業活動を数値化し、営業担当者ごとの行動パターンを分析する機能も重要です。個別の分析データをもとに行動パターンを改善することで、より効率的な営業活動を行うことができます。
また、成績優秀者の行動パターンを他の営業担当者に共有し、チーム全体の成約率アップに繋げるといったアクションも可能となります。
タスクの自動化
毎日発生する煩雑な事務作業に時間と手間をとられ、肝心の商談の準備や顧客とのコミュニケーションに時間を割けないと感じる営業担当者は多いでしょう。
SFAでは、以下に代表される営業活動に必要な事務処理や書類作成を自動化できます。
・見積書
・契約書
・日報の作成と提出
・各種手続きの承認
特に、各種手続きについて承認ワークフローを設定すれば、速やかに上長に承認を得ることが可能となります。
データ分析
SFAは、蓄積したデータを自動で分析・集計しレポートを作成できます。
担当者別、製品別など、多角的に営業状況を把握するために便利な機能です。
アナログでデータをまとめる手間が省けるため、スピーディな意思決定をサポートします。
・売上予測
・分析レポート
・集計レポート
SFA導入の成功事例:営業プロセスの最適化とデータ活用の強化
SFAの導入は、営業のスケジュール管理、タスクの自動化、データ分析、そして顧客満足度の向上に大きく貢献します。本項では、これらのメリットを具体的に示す導入事例を紹介します。SFAが自社の課題解決にどのように役立てられるかのヒントとしてお役立てください。
例えば、とある企業では、マーケティングオートメーション(MA)導入後、SFAの導入までに間があったため、SFAとMAの連携が進めにくい状況に陥っていました。そのため、まずは標準的なSFAの使用を定着させた上で、以下の観点について見直しと改善を行い、ビジネスプロセス全体の最適化に成功しました。
SFAとMAの連携強化に向けた見直しポイント
-
データ蓄積後のアウトプットの見直し
→ 必要なオブジェクトに絞ってツールを使用 -
アウトプットに必要な情報を取得するため、SFAの設計を見直し
→ 必要なアウトプットをするための項目を精査
→ ライセンス付与ユーザーの見直し
→ キャンペーンの階層設計の見直し -
MAツールの設計を見直し
→ アクティブプロスペクトの精査
→ プロスペクト項目を精査
→ スコアリングルールの見直し
このように、SFAの導入は単なるシステムの導入にとどまらず、企業の成長戦略の一環として不可欠な要素となります。特に、業務プロセスの改善には、分析データを指標としたPDCAサイクルを回すことが重要であり、SFAはその実行を強力に支援します。
CRMの主な機能
ここまでは、SFAの具体的な機能についてご紹介しましたが
ここからはCRMの主な機能や活用例についてご紹介していきます。
顧客情報の管理
CRMでは、見込み顧客や既存顧客の氏名・年齢・住所・連絡先などの基本情報に加え、個別の応対履歴や取引状況 なども記録できます。
さらに、よくある問い合わせをFAQとして公開することで、顧客が自己解決できる環境を整えられ、顧客満足度の向上にもつながります。
メール配信
CRMでは、顧客の連絡先にメルマガやキャンペーン情報などを配信可能です。この機能と連動して開封率やWebサイトのアクセス率を分析することも可能であり。ツールによってはSNSとの連携ができるものもあります。
キャンペーン管理
CRMには、セミナーや展示会、DMによる販売促進といったキャンペーン活動を管理する機能が備わっていることもあります。キャンペーンの対象者をまとめて確認できるほか、キャンペーンの効果測定を実施できます。効果測定のデータはKPI管理、PDCAサイクル、次回キャンペーンのKPI設定に役立つでしょう。
ソーシャルメディア管理
ツールによってはソーシャルメディア上で顧客とコミュニケーションをとる機能を搭載しているものもあり、これをソーシャルCRMと呼びます。顧客とのコミュニケーションを活発に行うことで、顧客満足度や好感度を高め、顧客と企業との関係性を深めることができます。
分析レポートの作成
SFAと同様、CRMにはデータ分析とレポート作成の機能がついています。CRM内の顧客情報を多角的な観点から分析・可視化し、企業戦略の策定に活用できます。
CRMの導入事例:顧客情報の最適化と業務効率の向上
ここまで、CRMの主な機能についてご紹介しましたが、実際のビジネスにおいてどのように活用されているのかを具体的な事例を通じて見ていきましょう。
例えば、某大手出版印刷会社では、キャンペーン効果の把握やMA・CRMの連携が不十分であり、顧客情報の整備や見込み顧客の育成に課題を抱えていました。特に、フォームで獲得したリードの質や顧客管理の精度に問題があり、営業・マーケティング活動の効率化が求められていました。
そこで、顧客情報を分析し、課題を明確化した上で以下の改善策を実施しました。
-
フォームを通じた見込み顧客の育成
→ 質の高いリードを獲得するための施策を強化 -
CRM内部情報の活用
→ 過去の顧客データを活用し、ターゲット戦略を最適化 -
適切な見込み顧客責任者の設定
→ 効率的なフォロー体制を構築
この結果、CRM内部情報の有効活用やリードの質向上、正しい取引先管理により、工数削減を実現しました。本事例は、課題を明確にした上でCRMの運用を見直すことで、業務効率化と成果向上につながることを示しています。
このように、CRMは単なる顧客管理ツールではなく、適切に活用することで、ビジネス全体の最適化と成長戦略に寄与する強力なプラットフォームとなります。
SFAとCRMの連携のメリット
SFAとCRMを別々で導入する場合、単体でも使用できますが相互にデータ連携を行うことで利便性が上がります。
本項では、主なデータ連携の方法とメリットをご紹介します。
SFAとCRMのデータ連携方法
API連携
SFAとCRMのデータ連携には「API」を使用することをおすすめします。
API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェアやプログラム間をつなぐ接点(インターフェース)を指します。例えばUSBやHDMIといったコネクター類は、異なるハードウェア同士をつなぐ「ハードウェアインターフェース」です。
APIはハードウェアではなくソフトウェア同士をつなぐ役割を果たします。
APIは多くの企業が提供しており、それぞれ仕様が異なります。場合によっては連携できないサービスもありますので、導入を検討する場合は自社のSFA/CRMで使用できるか確認しましょう。
オールインワン型のツールを選ぶ
データ連携を行うもう一つの方法は、導入時点でオールインワン型で提供されているツールを選ぶことです。
同じ企業から提供している複数のシステム間で、はじめからスムーズにデータ連携を行えるよう設計してある場合があります。これらのツールことを「オールインワン型」のツールと呼びます。
上述したように、異なる企業が開発したシステム同士ではAPI連携が使用できないこともあります。また、トラブルが発生した場合に提供元のサポート間でたらい回しになってしまうリスクを孕んでいます。
オールインワン型のツールであればAPIを使用せずシームレスに連携を行うことができますし、トラブル時の対応は同じ企業が行いますから迅速な対応が望めます。
代表的なオールインワン型ツールとしては、セールスフォース・ジャパン社のSalesforceが有名です。
データ連携のメリット
マーケティングによって獲得した見込み顧客の情報がCRMに含まれる場合、このデータを営業に連携することによって、ターゲットに合わせたアプローチが可能となります。
また、営業活動から得た商談結果などの分析データを活用することで、より効果的なマーケティング施策を打ち出すヒントを得られる場合もあるでしょう。
このように、他部署で得た知見を共有することでビジネスプロセス全体の最適化・効率アップを望めます。
SFAとCRMを選ぶ際のポイント
ここまではCRMとSFAの個別の特徴についてご紹介してきました。
では、実際に導入するツールを選ぶ際にはどのようなポイントに着目すればよいのでしょうか。
以下に4つの観点から選び方をまとめました。
導入目的から機能を絞り込む
CRMもSFAも非常に多機能なツールです。企業が抱える課題や導入目的を明確にし、それぞれの機能の要否を洗い出しておきましょう。
例えば、以下の目的の中で「顧客ごとの応対履歴を残したい」だけであればCRMのみで十分でしょう。
・顧客ごとの応対履歴を残したい
・営業部門全体のタスクを把握し、効率的なチーム運営を行いたい
・他部署と情報連携を行いたい
・顧客とのコミュニケーションを活発化したい
そのうえで「顧客とのコミュニケーションを活発化したい」場合は、CRMの中でもキャンペーン管理機能が充実したものを選ぶと良いかもしれません。
運用ルールの整備/研修を実施する
ここまでご紹介してきた内容から「CRM/SFAを導入すれば業務プロセスが改善できる」という印象を抱く方もいるかもしれません。ですが、実際はそうではありません。ツールができるのは集約したデータを分析することまでで、それらを効果的に活用し、業務改善できるかどうかは企業の努力にかかっています。ここで、肝心のデータの入力方法がバラバラであったり、誤っていたりすると分析結果の正確性が損なわれてしまいます。
そのため、導入前に詳細な運用ルールを設定し、使用者に周知しておく必要があります。さらに、周知したルールに則って操作できるよう練習期間を設けるとスムーズに運用開始できるでしょう。
また、ある程度の疑問は使用者自身で解決できるよう、分かりやすいマニュアルを作成するのも大切な準備のひとつです。
価格と機能のバランスを考える
必要な機能を明確にできたらコストパフォーマンスについても比較検討しましょう。
似たような機能でも初期費用や維持費は提供会社によって異なります。また、トラブル時に受けられるサポート範囲も重要なポイントです。
そのため、ある程度候補となるツールを絞り込んだ後は、それぞれの提供会社に具体的なコストについて相談して見積もりを出してもらうと良いでしょう。
セキュリティ対策に問題はないか確認する
CRMやSFAには重要な個人情報を記録しますので、セキュリティ対策も重要なポイントです。どのようなセキュリティ対策が施されているか確認し、不足していると判断した場合は追加の対策を講じましょう。
まとめ
顧客の属性が多様化している近年では、手作業での顧客情報管理にも限界があります。
それなのに、DX化を進めるのが難しく、せっかく地道に蓄積してきたデータを眠らせてしまっている企業も少なくありません。
CRMとSFAの主な役割は、ITシステムを利用した業務効率化、業務プロセス改善のサポートです。中にはAIを搭載して顧客視点の行動予測が可能となったCRMも登場してきています。うまく利用できれば事務作業の負担が軽減されたり、各部門の抱える課題を解決することができます。
導入前の情報収集や準備の負担を差し引いても導入するメリットははかりしれません。
時代のニーズに合わせて進化するこれらのツールは企業のDX化を大きく推進してくれるはずです。
この記事が、CRM/SFAの導入を検討する皆様のお役に立てましたら幸いです。
✔︎Salesforceを導入したものの、自社に最適な活用方法が分からない方
✔︎製品ごとの連携や設定調整に不安があり、運用に課題を感じている方
✔︎顧客データを活かした営業・マーケティングの体制を整えたい方
上記のようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ!弊社サービスをご活用ください!
\お困り事はお気軽にご相談ください/