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BtoBデジタルマーケティング戦略立案における効果的なフレームワークとは?

author DIGIFUL

date 2023.03.10

update 2024.06.19

tags 戦略立案

tags  DIGIFUL, 活用事例

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新型コロナウイルス感染拡大は、営業部門の外出制限やクライアント企業の在宅勤務など、営業活動において大きな影響を及ぼしています。このような状況下に左右されないために、デジタルマーケティングを本格検討・導入される企業がBtoB企業でも増加していますが、個別最適な施策の実施となることが多いのも事実です。 デジタルマーケティングは、全体戦略を策定し、個別施策に落とすことで、より大きな効果を生みだします。本記事では、全体戦略の策定にあたる、現状分析から戦略方針策定までの手法についてご紹介いたします。

※本記事は株式会社アイレップ運営のDIGIFUL「BtoBデジタルマーケティング戦略立案における効果的なフレームワークとは?」より転載しました。

BtoBデジタルマーケティングにおける一般的なあるべき像

まずは、BtoBマーケティングにおける、一般的なあるべき像の確認をします(図1)。打ち手となる施策は12~13個ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でオフライン施策の取り組みが困難となり、それに代わるオンライン施策が求められるようになりました(オレンジの部分が新型コロナウイルスの影響でオンラインシフトに該当する項目)。

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(図1:コロナ禍におけるBtoBデジタルマーケティングのあるべき像)

▼オンライン施策取り組みレベルのご確認はこちらの簡易診断シートをご活用ください(株式会社アイレップ提供)

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BtoBマーケティング戦略立案の手順

BtoBマーケティングの戦略立案の手順は大きく分けて4つです。

1. 現在のマーケティング実施状況の洗い出し
2. 課題の抽出・構造化
3. 優先順位の見極め
4. 戦略立案・策定

戦略の実行には1~4の項目に加えて社内・外の環境整備の必要がありますが、まずは戦略立案の手法をご紹介します。ワークシートもありますのでぜひご活用ください。

1. 現在のマーケティング実施状況の洗い出し

全工程の中で最も重要なのが現状の把握です。この作業をおろそかにすると、自社に何が足りないのか、どのような対策が必要かを正確に導き出せません。現状の洗い出しには、広報・マーケティング部だけでなく、マーケティング対象のプロダクトを扱う事業部(企画・セールス)にも協力してもらうことがベターです。特にマーケティングとセールスの現状把握をしっかり行うことで、潜在顧客の発掘~商談化、受注までを見越した戦略を策定することができます。

現在のマーケティング状況は7つのC(7Cs withD)で洗い出します。7つのC(7Cs withD)とは、マーケティングコミュニケーションをCustomer, Channel, Creative/Contents, Communication, Cost, Cloud(System), Collaborationの7 つの切り口で包括的に整理することができるアイレップ独自開発の分析フレームワークです。7つのC(7Cs withD)で分析を実施することで、マーケティングコミュニケーションの全体最適化に対する課題の抽出ができます。

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(図2:7つのC(7CswithD))

▼分析フレームワーク「7つのC」に関してより詳しくまとめた記事はこちらを参照ください。

デジタルマーケティングを統合的に推進するためには、事業責任者は、何をどのように推進していくべきか

▼7つのC(7Cs withD)を実施する際は、こちらのワークシートをご活用ください。(株式会社アイレップ提供)

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2. 課題の抽出・構造化

洗い出した現状から課題の抽出・構造化をおこないます。現状課題から課題と感じる項目(個別課題)をすべてピックアップしてまとめていきましょう(図3)。おそらく同じような課題が出てきますが、この段階では気にせずにそのまま書き出してしまって問題ありません。むしろ重要なのは、課題視していなかった潜在的な課題に気づくことです。「普通だと思っていたけど、客観的にみたら課題だった」という項目が必ずあります。このような潜在課題を発見するためには、複数人もしくは外部企業協力のもと、課題抽出を実施することをおすすめします。

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(図3:課題抽出のイメージ)

個別課題を出し切ったら、次のステップは課題の構造化です。ひとつひとつの課題の分類を分けていきます。例えば、図3の「1. 優良顧客が現場レベルでしか把握できていない」や「10. インサイドセールスは営業担当が各自で実施している」「13. 案件進捗管理をExcelで実施している」の共有点は顧客情報がバラバラで管理されているところです。つまり、「顧客管理が統合的に管理できていない」という分類の課題になります。

このように個々の課題の共通点を見つけて課題を分類分けします。これらを基に戦略方針を立てていくので、どんなに多くても10個程度にまとめると良いでしょう。また、構造化の際には「A、B、C...」と分けるとこの後の優先順位決めがしやすくなります(図4)。

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(図4:構造化した課題と個別課題の分類メージ)

3.優先順位の見極め

次に、構造化した課題の優先順位を見極めます。優先順位の見極めには、個別課題に対して「優先度合」と「難易度」をそれぞれ3段階でランク分けしていきます。例えば、上層部から既に指示が出ているような緊急性の高いものは「優先度1」とし、なるべく早くやるべきだが組織としての緊急性はあまりないものは「優先度2」、施策推進はした方が良いが急ぎでないものは「優先度3」といったように優先度合のランクを分けていきます。「難易度」に関しては、施策実行の際の対応スピードや社内の障壁(会社の意思決定や組織連携の協力体制など)を考慮して「難易度高」「難易度中」「難易度低」の3段階でランク分けをします。

それぞれの個別課題に対してランク分けが完了したら、優先度と難易度のマトリックスで整理していきます。横軸を優先度、縦軸を難易度としたフレームに、先ほどランク分けした個別課題をマッピングします(図5)。例えば、「優先度1」×「難易度高」=図5でいう「1」の枠に該当します。

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(図5:優先度×難易度のマッピングイメージ)

マッピングが完了したら優先順位を見てみましょう。結論からご説明すると、図5の「7」→「4」→「8」が優先度のトップ3になります(図5の青いエリア)。「1」が優先度から外れている理由は、難易度が高いためです。施策の緊急性が高くても、難易度が高すぎると施策に取り組むまでの時間がかかりすぎてしまいます。そのため、最も優先度が高いのは、「優先度1×難易度低」の「7」、次に高いのは「優先度1×難易度中」の「4」、その次は「優先度2×難易度低」の「8」になります(図6)。「7」「4」「8」の枠の中に構造化された課題はいくつあるかチェックしましょう。

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(図6:優先度の絞り込みロジック)

4. 戦略立案の策定

1-3までのステップで現状の洗い出し~課題抽出・構造化まで完了しました。最後のステップでは、戦略の立案です。戦略立案は、現状課題を改善することであるべき姿に近づけていくということなので、図1のコロナ禍におけるBtoBデジタルマーケティングのあるべき像を参考に考えていきましょう。構造化された約10個の課題をさらに2~3個に紐づけていきます。課題を解決するにはどのような施策が必要か、さらにその施策は他の課題解決にもなるだろうか、という視点で見ていきましょう。

例えば、「質の良いリードが取れない」「自社サイトがオンラインリードを獲得する設計になっていない」「日頃の情報発信が少ない」などの課題からは、「オンラインでのリード獲得を目的とする情報発信の仕組みづくり」というひとの戦略方針が立案できます。課題の紐づけの際に優先度の高い課題が集まるようであれば、優先度の高い戦略方針と判断することができますので、課題の紐づけは1対1ではなく、可能性のある戦略にすべて紐づけるようにしましょう。

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(図7:構造化した課題を紐づけイメージ)

このような手順で戦略方針を立て、個別施策にブレイクダウンしていくことによって、全体最適の観点で課題を解決することができます。

まとめ

BtoBデジタルマーケティングは全体戦略を策定し、個別施策に落とすことで、より大きな効果を生みだします。部分最適な施策を実施している場合は、中長期的に見てコストパフォーマンスが悪い可能性がありますので、広告・マーケティング~営業までの全体戦略を設計しましょう。 今回ご紹介した現状分析から戦略方針策定までのフレームワークを自社のマーケティングにぜひご活用ください。

本ブログを読んで何か気になったことがありましたら、ぜひ!お問い合わせください。

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「DIGIFUL(デジフル)」は、(株)アイレップが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。


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