活用情報
UTILIZATION

ITの活用で「たくさんのお客様」に高級旅館並みのサービスを

株式会社ホテルおかだ
常務取締役営業部長 原 洋平 氏

企業情報

会社名 株式会社ホテルおかだ
事業内容

5本の自家源泉を持ち豊富な湯量を誇る、箱根湯本の老舗温泉旅館。大型宿泊施設「ホテルおかだ」をはじめ、日帰り温泉、足湯など5施設を運営する。

設立 1953(昭和28)年
従業員数 約130名
ホームページ

http://www.hotel-okada.co.jp

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課題

  • 予約のオンライン化により上昇したキャンセル率と、これに伴う機会損失
  • 顧客満足度を高めるサービス・生産性向上の両立
  • 顧客の増加と多様化による、リピート率の低下

効果

  • 顧客情報と営業活動の見える化で、キャンセルによる機会損失が激減
  • 事前コミュニケーションで、接客品質の向上と業務不可の軽減を両立
  • ダイナミックコンテンツとメール施策で、リピート率の上昇を目指す

導入の背景

マーケットの変化・多様化に対応するために

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日本屈指の観光地、箱根の玄関口「箱根湯本」で、65年以上の歴史を持つ「ホテルおかだ」は、多彩な温浴施設と真心溢れるサービスで、団体、個人、外国人とあらゆるジャンルのお客様に人気の宿だ。常務取締役営業本部長の原洋平氏が、エンジニアとして活躍していた大手企業から、祖父母が創業した老舗旅館の経営に参画したのは2009年、30歳の時である。団体から個人旅行へ、そして旅行会社への依頼が当たり前だった旅行スタイルがオンラインで予約できるようになるなど、マーケットが変化し多様化していた。
「団体客主体では、早晩収益が悪化する」と感じた原氏は、個人の誘客強化へと営業戦略の転換を提案し、2011年からオンラインチャネルの強化に着手。Webマーケティングに注力したところ、施策開始1年目から予約件数が伸びた。しかし、それに伴うキャンセル率の上昇(29%→40%)、問い合わせの増加と多様化、外国人を含む属性の拡大などへの対応で、現場スタッフの業務負荷が増加してしまう。限られた人員で複雑化するオペレーションをどうこなし、多様化するお客様の満足度をどうやって高め、生産性を上げていくか。これらの課題を並行して解決するために、原氏はITテクノロジーをホテル運営に取り入れていく。


選んだ理由

「こうしたい」を実現できる柔軟性が重要

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それまで稼働していたシステムは、PMS(ホテル管理システム)のみ。顧客情報が一切蓄積されておらず、顧客との接点履歴や営業活動などを把握するためにCRMが必要だとの認識から、2015年にSalesforce CRMを導入した。
決め手は、「業界のスタンダードでカスタマイズが容易であること。現場が使えるよう現行業務にフィットさせる必要があり、『こうしたい』を実現できる柔軟性が重要でした」(原氏)。Salesforce CRMで法人営業をサポートしながら、リピート率の上昇につながるオンライン予約の個人客との接点強化に向けて、2017年にPardotを導入。
マーケティングオートメーション(以下MA)を接客に組み込み、予約時から宿泊後のフォローまで、対面以外でのお客様とのコミュニケーション強化を目指した。


導入後の効果

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顧客情報と営業活動の見える化で、キャンセルによる機会損失が激減

Salesforce CRMでのデータの蓄積により、従来見えていなかったお客様の動き、傾向が分かるようになった。例えば、期限を見誤ると失注リスクが高かった団体客の仮押さえは、季節ごとの一般客の予約動向からいつまで許容できるかが明確になり、旅行会社にベストな期限提案ができるようになった。また、従来はPMSから仮押さえ期限を1件1件拾い出すしかなかった業務が自動化され、期限が迫るとPardotとの連動で団体予約者や旅行代理店へ確認メールを送信。万が一キャンセルになっても早めに次の手を打てる体制ができた。オンライン予約の個人客も同様に、予約完了後に送る情報提供メールの中でキャンセルポリシーを明確にし、宿泊日が近づくと確認メールを送信する。こうした対策で、キャンセル率の上昇を抑えるとともに、キャンセル後のリカバリーが可能になり、機会損失が激減した。

事前コミュニケーションで、接客品質の向上と業務負荷の軽減を両立

お客様の満足度を高めるには、お客様の情報を従業員が共有し、寄り添うサービスでおもてなしすることが重要だ。例えば、部屋数が少ない高級 旅館では、予約の段階から電話やメールでお客様と直接コミュニケーションをとり、準備万端整えてお迎えする。従来のホテルおかだでは、お客様の来訪時にフロントでリクエストを伺うところから、滞在中のサービスがスタートしていた。新たな人手をかけずに、宿泊前からお客様とのコミュニケーションが図りたい、これがPardot導入の動機の一つでもある。特にオンライン予約が好調になるにつれ、インバウンド(海外客)、ファミリー、グループ、カップルなど属性が多様化した。オペレーションが複雑になったことで増えた、スタッフの業務負荷を軽減することも必要だった。今は、予約時に御礼メールを送信し、宿泊日までに観光・イベント情報、直前には交通案内や天候情報など、旅行を楽しんでもらえる情報を事前に提供する。同時に、お客様からのお問い合わせやリクエストを伺ったり、ダイナミックコンテンツ(次項で解説)と組み合わせて属性に合うHPやFAQの出し分けを行ったりするなど、より有益な情報を提供できるよう工夫を重ねている。この施策によりキャンセル率の上昇が止まり、お客様からの反応、口コミも好転した。限られた人員でも業務負荷をかけずにお客様との接点を増やし、顧客満足度を向上できると、手ごたえを感じている。

ダイナミックコンテンツとメール施策で、リピート率の上昇を目指す

Pardotのダイナミックコンテンツは、特にHP上の情報の出し分けに活用する。現在、ホテルおかだのHPでは、数種類のTOPページを用意。メインターゲットであるファミリー向けのページ、お子様情報が不要なお客様向けのページ、団体・会議利用向けのページを、それぞれ属性に合わせて表示する。またFAQでは、新規のお客様から質問が多い温泉情報はリピーターのお客様には表示されないようにするなど、お客様にとって有益な情報を提供するよう努めている。Salesforce CRMでのデータの蓄積から、長期間でのリピーターの存在が分かってきた。赤ちゃんの頃、友達との旅、会社利用など、人生のさまざまなステージで来訪の機会があるため、適切なコミュニケーションを図ることで、個人の生涯の温泉宿としてコミットすることも可能だ。


今後、期待すること

IT活用で高級旅館並みのサービスを提供し、お客様に生涯利用していただけるホテルに

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現在の集客は、旅行会社経由が3~4割、オンラインが3~4割、自社営業が3~4割とバランスがよくなった。「今後はさらにリピーターを増やしたい。部屋や温泉のバリエーションが豊富な特性を活かし、生涯使える旅館としてのインパクトを残したい。そのために、直接つながりを持てるお客様を増やしたい」(原氏)。大型旅館の多様性は、メリットにもデメリットにもなるというが、デメリットをITの活用で「強み」に転換したいと原氏は語る。同社では、B2B Marketing Analyticsも活用。データ分析により旅館の状況を見える化し、必要な施策をタイムリーに実行できる体制づくりも進めている。システムの力を借りて、旅行会社や個人客とのつながりを深め、寄り添うコミュニケーションを図ることで、「たくさんのお客様」に高級旅館並みの サービスを実現したい。そして、生涯さまざまなシーンで利用していただけるホテルを目指す。ホテルおかだのチャレンジはまだはじまったばかりだ。


この企業で利用されているサービス

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