Account Engagement(旧Pardot)、Salesforce、Google Analyticsを連携し、BIダッシュボードでデータ分析を効率化
企業情報
会社名 | 株式会社フリーウェイジャパン様 |
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事業内容 | ユーザー数40万を突破! クラウド業務系システム「フリーウェイシリーズ」で、中小事業者のIT導入を促進し、日本経済活性化に貢献する。 |
設立 | 1991(平成3)年 |
従業員数 | 非公開 |
ホームページ |
株式会社フリーウェイジャパンは、会計事務所と中小事業者向けにクラウド業務系ソフト「フリーウェイシリーズ」を提供している。同社の井上達也社長の「起業時のITコストの負担を軽減したい」という思いが原点となり、無料で使えるプランを永続的に提供していることが本シリーズの特徴だ。“ITコスト負担を実質ゼロ”にすることを目的に「フリーウェイプロジェクト」を推進し、国内の中小事業者と会計事務所の活性化を目指す。2024年7月時点で、シリーズの総ユーザー数は約47万に達している。
課題
- Google広告の効果測定の正確性を高めたかった
- Salesforceの契約プランにおけるデータ保存期間の制限により、長期的なデータ分析が困難だった
- 複数のメールテンプレートを使用した際のメールマーケティングの効果測定が煩雑だった
効果
- DataCollectを導入し、Account Engagement、Salesforce、Google Analyticsと連携するBIダッシュボードを作成したことで、Google広告の正確な効果測定ができた
- DataCollectの導入でデータの保存容量が増え、メールマーケティングにおける中長期的な分析が可能になった
- MAPlus アクティビティコネクターの活用により、BIダッシュボードでメール配信結果を一元管理できるようになった
- ハンズオン(体験学習)を交えたBIトレーニングを受講し、BIツール活用の前提知識が身に付いたことで、データ分析の新しいアイデアが生まれやすくなった
業務内容
永久無料プランで中小事業者を支援。クラウド型業務システムの開発・提供をおこなう
会計事務所や中小事業者向けにクラウド型の業務系システム「フリーウェイシリーズ」を提供するフリーウェイジャパン。同社は会計ソフトの「フリーウェイ経理」をはじめ、給与計算・年末調整・勤怠管理ソフト、販売管理・顧客管理ソフトといった、バックオフィス業務の効率化とコスト削減を実現するシステムを多数展開している。特筆すべきは、従業員数や保存データ数といった条件を満たせば、永久無料で利用できる点だ。
同社で取締役を務める牛崎遼氏は、この永久無料プランの提供の継続と、フリーウェイジャパンの持続可能な発展をミッションに掲げる。「全体最適を考慮しながら、自動化により現状の人員で生産性を上げ、バックオフィスの業務コストを抑えながら売上・利益を伸ばしていくことが重要」と語る牛崎氏は、メールマーケティングの効率化にも取り組んでいる。同社では以前からSalesforce CRMとMAのAccount Engagement(旧 Pardot)を活用していた。
しかし、Account Engagement(旧 Pardot)導入後はその機能を十分に活用できない時期がしばらく続いていた。そこで、toBeマーケティングのコンサルタントによる「伴走活用支援」を受け、メール配信業務や見込み客の絞り込み、営業対応のリマインドなどの自動化を実施。結果、前年度4割増の新規開拓を実現したほか、メールマーケティングを軌道に乗せることに成功した。
その後、同社はさらなるデータ活用を進めるため、SalesforceやGoogle Analyticsといった複数のツールの併用を開始。しかし、膨大なデータの分析や作業負荷の重さに課題を感じ、2023年にtoBeマーケティングが提供するデータ分析プラットフォーム「DataCollect」を導入している。データの連携や業務効率化といった導入効果について、牛崎氏に詳しく伺った。
導入の背景
Google広告の効果の明確化とメール配信分析が課題だった
牛崎氏は、フリーウェイジャパンのデータ活用には3つの課題があったと話す。
1つ目は、Google広告の効果測定の精度向上だった。同社は給与計算ソフトの新規開拓のため、Google広告を活用していた。その効果を検証すべく、Salesforceを使用してGoogle広告経由での流入数やそこからの有償契約数の測定をおこなったものの、結果に疑問が生じた。自身の肌感覚から、実際のGoogle広告経由の有償契約数はSalesforceのレポートの数値よりも多いのではないかと感じていたのだという。
「データに疑問があると、広告にかける予算も適切に判断できません。今後の広告戦略を考えていくためには、確証を得られるデータで効果を明確に把握することが非常に重要だと考えました」と牛崎氏は語る。
2つ目は、Salesforceのデータ保存期間の制限により、長期的なデータ分析が困難であること。多数のユーザーを抱える同社では、契約しているSalesforceのプランでは容量が足りず、短期間のデータしか保持できなかった。数十万人いるお客様にメールを送り、送信ログ、開封率、クリック率のデータを残すと、すぐにストレージの容量が超過してしまう。「容量を増やすために追加コストが発生する状況でした」と牛崎氏は説明する。この制限により、メールマーケティングの長期的なデータ分析が困難な状況に陥っていた。
3つ目は、メールマーケティングの効果測定の煩雑さだった。特に、メールマガジンに複数のテンプレートを使用するキャンペーンでは、各メールの効果測定作業が複雑化し、負荷が重くなった。メールマーケティングの分析業務を担当するのは主に牛崎氏のみだといい、「1人で数十通のメールの効果分析を手作業でおこなっており、それぞれの効果を比較するのに多大な労力がかかっていました」と振り返る。過去の成功事例を活用しようとしても、大量のウィンドウを開き、表計算ソフトを併用しながら人の目で確認する必要があり、効率的な分析が困難だった。
toBeマーケティングを選んだ理由
「独自性」と「信頼関係」が導入の決め手
データ分析におけるこれらの課題を解決し、より効果的なデータ活用を実現するため、同社はDataCollectの導入を決定した。その決め手となったのが、DataCollectのサービス内容の独自性、そしてtoBeマーケティングとの信頼関係だった。
DataCollectは、Account Engagement(旧Pardot)やSalesforceに蓄積されたデータと、Google Analyticsのデータを関連付けて、分析プラットフォームを構築するサービスだ。「この3つのツールを連携するサービスはDataCollectだけでした。ツールを組み合わせてAPI開発をおこなう必要がないので、コストを抑えつつGoogle広告とSalesforceのデータをより正確に連携できます」と牛崎氏は語る。
一方、toBeマーケティングとの関係は、Account Engagement(旧Pardot)の活用伴走支援を通じて2018年頃から築かれてきた。牛崎氏はその信頼関係について次のように話した。「toBeマーケティングは当社のビジネスを理解したうえで的確な提案をおこない、常に寄り添って支援してくださいました。DataCollectをサービス開始時にご案内いただいた際も、これまでの信頼関係があったからこそ、迷わずtoBeマーケティングにお願いしたいと思いました」
導入の効果
Account Engagement、Salesforce、Google Analyticsを連携しBIダッシュボードを作成。明確なデータに基づいた意思決定が可能に
データのさらなる有効活用と業務効率化に向け、フリーウェイジャパンは2023年にDataCollectを導入。同社の課題に合わせた分析プラットフォームとなるBIダッシュボードを、toBeマーケティングと並走して構築した。各ツールのデータを可視化し、必要に応じて組み合わせることで、詳細な分析が可能となった。その結果、同社が抱えていた3つの課題が解消されたという。
まず、Google広告の効果測定については、正確なデータをもとに今後の広告戦略を判断できるようになった。「Google広告経由の有償契約数について確認したところ、SalesforceのレポートとDataCollectで取得したデータには整合性があり、データに差異があるという自らの感覚は誤りであったことが明らかになりました」と牛崎氏は話す。これにより、Google広告の効果を正確に把握し、広告投資の妥当性を客観的に判断できるようになった。今後の広告予算の増減決定にも、このデータが重要な指標となる。
次に、データ保存と長期分析の課題も解決された。DataCollect内でデータを保持することで、従来のSalesforceプラン制限を超えた大量のデータを長期的に分析できるようになった。牛崎氏は「特にBtoBビジネスやメール配信数の多い企業にとって、DataCollectは蓄積データの有効活用とコスト面で非常に適していると感じています」と導入の効果を語る。
さらに、メールマーケティングの効果測定も大幅に改善された。DataCollectに組み合わせた「MAPlus アクティビティコネクター」を活用することで、BIダッシュボード上でメール配信結果を一元管理できるようになった。MAPlus アクティビティコネクターは、Account Engagement (旧 Pardot)で取得したユーザーのWeb上のアクティビティ(行動履歴)をSalesforceのダッシュボードで可視化するサービスだ。これまで大量で見きれなかったメールテンプレートごとの効果も、MAPlus アクティビティコネクターを利用すれば開封率やクリック率などの軸で比較・分析ができる。
今後は長期的にデータを蓄積することで、より深い洞察が得られると牛崎氏は期待を寄せる。同氏は「当社では契約更新メールで段階的にパーソナライズ度を上げていく戦略を採用しており、各段階での効果測定もしていきたいと考えています」と語る。全4回の契約更新メールを3種類のテンプレートで送信し、それぞれ件名を変えることで徐々にパーソナライズを強化しているという。MAPlus アクティビティコネクターで各テンプレートの効果差や最適なパーソナライズ度をデータで判断し、最も効果的なアプローチを見出すことで、契約更新率の向上につなげる考えだ。
ハンズオン型BIトレーニングで自社分析力が向上。新たなデータ活用アイデアも創出
同社は、DataCollectの効果的な活用および将来的な自社運用を見据え、toBeマーケティングが提供する「BIトレーニング」も受講。BIトレーニングは、座学とハンズオン(体験学習)を組み合わせた実践的な学習プログラムで、以下の内容を網羅している。
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BIの基本的な操作
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データ設計に必要な考え方や追加の手順
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BIの仕様、活用方法、ダッシュボードデザインで考慮すべきポイント
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ダッシュボードを作成する際に必要な、要件のまとめ方や手順
牛崎氏は、このトレーニングの特徴を次のように説明する。「座学に加えて、ハンズオン形式で学べるのが非常に効果的でした。自社の具体的な課題やBIツールの活用目的、作成したいダッシュボードのイメージに合わせて、個別に画面共有しながらレクチャーを受けられます。動画教材などの独学では、受講を後回しにしがちだったり、実際の環境と異なる画面に戸惑ったりすることがありますが、toBeマーケティングのBIトレーニングは実際の環境で学習できるので、スムーズに理解できます」と、その実践的な学習方法のメリットを強調した。
さらに、BIツールを活用するための基礎知識が身に付いたことで、新たなデータ活用のアイデアが生まれやすくなった。牛崎氏は「『これらのデータの組み合わせでこのような分析ができるのではないか』といった新しい発想が湧いてくるようになりました」と、BIトレーニングがもたらした効果を語る。
今後の展望
DataCollectの活用の幅を広げ、コンテンツ改善やユーザーサポートを着実に進めたい
同社のDataCollect活用は、まだ発展途上の段階にある。牛崎氏は、「DataCollectの導入により、これから実現したいことがいろいろ出てくると感じている」と予測する。
今後の展望として、牛崎氏は「コンテンツマーケティングのデータ分析」や「ユーザーの解約予兆の分析と対策」にもDataCollectを活用できる可能性があると述べた。具体的には、Google Analyticsとのデータ連携により、ユーザーの閲覧ページと行動の相関分析をおこなう試みだ。どのコンテンツが有料版の新規契約や更新に効果的かを把握し、コンテンツの改善に活かしたいという。
また、解約に至ったユーザーの行動を分析するとともに、契約更新前のユーザー行動を観察することで解約リスクを予測する構想もある。例えば、高リスクと判断されたユーザーに対して営業担当者が事前にヒアリングをおこなう仕組みを作るといった、顧客維持のための対策も講じる計画だ。
「DataCollectの活用で、将来的にできることは多くなると思うが、まずは小さな成功を積み重ねながら徐々に活用範囲を広げていきたい」と牛崎氏は語る。同社のデータ活用は、MAの機能に多大な期待を寄せるのではなく、スモールステップで着実に改善を進めていく姿勢だ。新たな技術や知識を取り入れながら、より効果的なマーケティング活動の実現、顧客満足度の向上、そして持続可能な成長を目指し続ける。
※本事例の各種情報は、2024年8月時点のものとなります。
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