活用情報
UTILIZATION

Salesforceの「マルチクラウド」でマーケティング基盤を運用、LTVと再来場率を大幅に向上。スポンサー向け(BtoB)にも活用

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ株式会社
事業戦略推進グループ マーケティング担当 大岩 勇斗氏

企業情報

会社名 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ株式会社
事業内容

プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」に所属し、名古屋をホームタウンとして活動するプロバスケットボールクラブ。名古屋城に隣接している「ドルフィンズアリーナ」をホームアリーナとし、プロバスケットボール興行を年間30試合ほど運営するほか、ユースチームの運営、スクール事業など育成や普及活動を行っている。名古屋市の地域プロモーションに資するべくSDGsに貢献する事業などスポーツによるまちづくりを担う。

設立 1950年
従業員数
ホームページ

https://nagoya-dolphins.jp/

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課題

  • Bリーグによる統合DBが各クラブに提供されているものの、36クラブある統合DBゆえ、クラブが独自に分析、展開したいことには行き届かず、データに基づいた分析や施策を検討できなかった。
  • 売店でのMD(グッズ)やF&B(飲食)の売上情報と購入したファンの顧客情報が連携できていなかった。そのため、どういったものが誰に売れているのかわからず、データに基づく商品企画ができていなかった。
  • スポンサー契約獲得の営業活動(BtoB)において、多様化するニーズにクラブ会員の属性や動向データをもとにしたメリットを訴求する必要性が高まってきている。

効果

  • Salesforceの導入で来場者数が増加。前季比123.6%
  • 買いやすいMD(グッズ)の価格帯を把握、ライト層のロイヤルティUP
  • スポンサー獲得の営業活動も、クラブの価値をデータで可視化し、BtoB領域におけるCRMの実現

業務内容

Salesforceで蓄積したデータを用いた現状分析、施策提案

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私が在籍する事業戦略推進グループでは事業計画の策定を始め、事業全体取り纏め、ブランディングやマーケティングを軸にチケット企画・販売、MD、F&Bやファンクラブの企画・運営、クラブプロモーション活動、地域プロモーションなど事業規模の拡大を業務としています。なかでもSalesforceで蓄積したデータを用いて現状分析、施策提案などを担当しており、会社のKGIに対してデータに基づいたアプローチができるよう他部署とも連携。会社全体として目標達成することをゴールとしています。


導入の背景

データを活用した分析ができず、戦略の妥当性の把握や次なる打ち手に課題

2016年に実業団からプロクラブとなったのを機に、BtoCマーケティングが重要課題になりました。初年度から本格的に活動を始めましたが、リーグから提供されるデータだけでは、自クラブの独自データを活用した分析ができないため、感覚で判断して戦略立案しており、妥当性の把握や次なる打ち手に悩んでいたんです。そこで、ファンとスポンサーにとって魅力的な施策を展開できるようにデータマーケティング基盤の導入を検討しました。導入前にはセミナーに参加。セールスフォースであれば要件を満たすことができ、BtoBマーケティングにもデータベースを活かせると判断し導入を決定しました。

Sales Cloud、Pardot、Tableau CRMそれぞれに機能が豊富で、何でもできてしまうからこそ覚えることが多くあり、思い描いた通りに使いこなせるようになるまで時間を要しました。導入時にはSalesforce社やtoBeマーケティング社から必要十分なサポートもありますが、この最初の壁を乗り越えるためには、とにかく触って運用を始めることが大切です。

【マーケ】case_nagoya5


導入の効果

深い分析を元に具体的な施策を立案できるようになった

マルチクラウドを活用し、クラブ独自のデータマーケティング基盤を手に入れたことで、これまでわかっていなかったことも捕捉できるようになりました。具体的にはどういった来場者にどういう物が売れて、また見込みがあるのかといったデータ分析に基づく仮説立案や施策実施ができるようになったのです。試合日はMD(グッズ)やF&Bの会計時にチケットのバーコードを提示してもらってデータを集計しています。データマーケティング基盤でこのデータを分析してみると、来場回数が少なくて消費金額が小さい「ライト層」がシーズンを通して70%以上いることが判明。

また、ライト層の大半はMDを購入しておらず、ライト層のロイヤルティ向上には手ごろな価格のMD購入を促進するべきではないかと気づきを得ました。昨シーズンから日常使いができる商品ラインナップを定性的なアンケートに基づき増やしたのですが、販売データを読み解くと2,000円前後の商品は購入されていないのに対し、1,000円前後の価格帯のものは購入されやすいことも判明しました。こういった「誰が」「何を」「どのくらい購入したか」のデータが見られるようになったことで、具体的な施策までを立案できるようになりました。

【マーケ】case_nagoya8


今後の展望

社内にもデジタルな課題解決の考え方が浸透。さらにデータ運用の用途を拡げていきたい

社内ではマーケティング担当である私がSales Cloud、Pardot、Tableau CRMを基本的に利用し、営業担当がスポンサー営業のためにPardotを利用しています。Sales Cloud、Tableau CRMを使って1シーズンを振り返る分析レポートを作成しましたが、各担当者がもつ現場での感覚値と同じ結果が出たり、異なる結果が出たりで面白い反応がありました。最近では「こういう見方もできる?」と相談を受けるようになり、社内でデータ運用が少しずつ浸透してきた手応えを感じています。

導入前は次のシーズンをより良くするために、他クラブの取り組みを参考に企画を考え、感覚を頼りに施策を積み重ねてきました。それがすべて間違っているわけではないと思いますが、根拠がない施策は結果のみで判断されてしまうため、単発で終わってしまうことがあるのではないでしょうか。データに基づいた施策ならば改善も容易になります。構築したデータマーケティング基盤では非常に多くの事ができますが、まずはミニマムなことからデータ運用をしていくことが重要だと考えます。まず小さいことから始め、それが社内に浸透して初めてデジタルな課題解決ができるスタート地点に立てるのです。データドリブンマーケティングを実行しようとすればするほど「こんなことができないか」ということが増えてきているので、更に活用していきたいです。


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