ドメインってなんだ?② ~ネット界の行き先案内人、DNSサーバー~
2022.11.17
2023.05.31
今回は、MAツールを入れる際、「サブドメインを決めてくれ、DNSサーバーに登録してくれ」言われたが、どうしたら良いか分からない!という方向けに、そのような時に必要となる基礎知識をお伝えいたします。 皆様に、できるだけ理解しやすく、実際に使える知識をお伝えできればと思いますが、裏側の難しい話をするため、3回にわけて解説いたします。若干技術者さんから見ると、ちょっと違うんだけどなーというところもあるかとは思いますが、「困っている状態から抜け出す」ことを優先にしておりますのでご容赦ください。
もし、「仕組なんてどうでもいいのだ! サブドメインの決め方だけ教えてくれ!」という方がいらっしゃいましたら、問題がおこらないサブドメイン作成ルール だけは必ずご確認ください。
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- 第一回 ドメインを使ってどうやって目的地にたどり着くのか?
- 第二回 ネット界の行き先案内人、DNSサーバー
- 第三回 問題がおこらないサブドメイン作成ルール
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第二回目の今回は、DNSサーバーがどうやって目的地を案内できるのか、そしてネットワーク上の指示書の役割を果たす、DNSレコードについてご説明いたします。
DNSサーバーとは?
DNSサーバーは、簡単に言いますとそこにたどり着いた時に次の行き先を教えてくれるものです。DNSサーバー自体は、次の行き先しか教えてくれません。なので、目的地に着くまでに複数のDNSサーバーから道を訊くこともよくあります。
コンピュータというものは、実はやれることはひとつひとつはとても小さいことなのですが、それが多数つながると大きなことをやり遂げられるという特徴があります。このDNSサーバーをたどって、巨大なネットワーク世界の中から会いたい人を探しだすというのも、そういったコンピュータの特徴を上手く使っていますね。
個人的には宝探しで、宝箱を開くと次の行き先を指示される、みたいな感じで面白いなと思っています。
DNSレコードとは?
DNSレコードとは、まさに宝箱の中に入っている次の行き先を書いた紙のことだと思ってください。例として、「tobem.jp」のDNSサーバーにある、DNSレコードには次のように書いてあるとします。
- 「tobem.jp」をメールとして使用する場合には「Aサーバー」が最終到着地なので、そこに行ってね!
- 「tobem.jp」をWebサイトにアクセスする場合には「Bサーバー」が最終到着地なので、そこに行ってね!
- 「ma.tobem.jp」はサブドメインだけど自分が管理しているよ! メールとして使用する場合には「Aサーバー」が最終到着地なので、そこに行ってね!
- 「ma.tobem.jp」はサブドメインだけど自分が管理しているよ! Webサイト閲覧として使用する場合には「Cサーバー」が最終到着地なので、そこに行ってね!
- 「recruit.tobem.jp」に関しては、「ns.tobem.jp」さんに全部委任しているので、そこに訊いてみてね!
もし、私が「xxxxxx@tobem.jp」というメールアドレスを使って送信しようとしていたり、そのアドレスに着たメールを見ようとしているのであれば、1を見て直接メールサーバーにたどり着くことができます。同様に、「ma.tobem.jp」にあるWebサイトを見たい場合には、「tobem.jp」のサブドメインになりますが、この4のDNSレコードに最終到着地まで載せてくれてあります。そのため、次に直接最終到着地まで行くことが可能です。
今までの説明では、サブドメインに関して、すべて次のポイントへ行かないといけないかのように書いてきましたが、次の行き先を抜いてしまって、自分がそのサブドメインに関することを答えるようなこともOKです。
その一方で、「recruit.tobem.jp」に関しては、「ns.tobem.jp」に訊いてほしいと書いてあります。この場合は、「recruit.tobem.jp」について、「ns.tobem.jp」のDNSサーバーさんに訊きに行くことになります。この方が今までの説明と近いですね。
ポイントになるのは、同じDNSサーバーの中に、親である、「tobem.jp」と、子である「ma.tobem.jp」の最終到着地情報が一緒に書かれている場合もあるし、「recruit.tobem.jp」のように、そのサブドメインに関しては、別のDNSサーバーに訊くように指示する場合もあるということです。
「recruit.tobem.jp」のように、そのサブドメインに関しては、別のDNSサーバーに訊くように指示する場合は、特に「委任」と呼ばれています。
委任されたサブドメインのサブドメインは誰が管理するのか?
ここで問題になってくるのは、以下のようなDNSレコードを書いても良いのか?という問題です。
- 「tobem.jp」をWebとして使用する場合には「Aサーバー」が最終到着地なので、そこに行ってね!
- 「mail.ec.tobem.jp」はサブドメインだけど自分が管理しているよ! メールとして使用する場合には「Aサーバー」が最終到着地なので、そこに行ってね!
- 「ec.tobem.jp」に関しては、「ns.tobem.jp」さんに全部委任しているので、そこに訊いてみてね!
これに関しては、特別注意しておく必要があるパターンになります。どうしてでしょうか?
今までのお話を読んでいただけている方には、なんとなくできなそうということは分かっていただけると思います。ですが実務の中では、やりたくなる時が多数出てきます。例えばですが自社ECサイトを持っていて、「ec.tobem.jp」であるECドメインのサブドメイン「mail.ec.tobem.jp」でECに関するお知らせをメール送信したい。それをECツールではなく、MAツールで行いたい、などの場合です。多くのECサイトでは、EC用のツールに委任を行っていると思います。もちろん、通常「ec.tobem.jp」をECツールに委任する形になるでしょう。そうしますと、EC用のドメイン配下すべてをECサイトが占有している状態になるわけです。それなのに、「ec.tobem.jp」のサブドメインである、「mail.ec.tobem.jp」を別のツールで使おうとするのは無理がでますよね。
では、委任を行っているから問題になったのだ、委任を行わずに「ec.tobem.jp」以下のサブドメインをすべて直接指定するようにしてしまえば、問題が解決するのではないか、と考えられる方がいらっしゃるかと思いますが、これもまたあまりやらない方がよいです。なぜでしょうか?
これは逆になぜECツールやMAツールを使う場合に委任をしているのかを考えていただけると理解できるかと思います。簡単に言ってしまうと、ECツールといえども多数のサーバーを用いていますので、そのサブドメインもかなり多いと考えられます。これをすべてユーザー企業が直接メンテナンスするのが大変すぎるからです。また、自分たちが使おうとしていたサブドメインがECツールのバージョンアップで将来的にEC側が使うとなった時に、大問題になりますよね。
逆に「mail.ec.tobem.jp」をECツールのDNSサーバーに入れるという方法もありますが、将来そのサブドメインを使わないという保証はないので、将来的にサブドメインが重なってしまうという問題は回避できていません。
ですので、どこかに委任しているサブドメインのサブドメインを別の用途で使うのは避けた方が賢明です。
次回は?
今回は、DNSサーバーの役割と、DNSレコードについて学びました。また、第一回でお話した通り、サブドメインは右側から順に読んでいき、次のステップに向かうというイメージのものなので、ECツールに委任したサブドメインのサブドメインを他用途で使うと面倒なことが起きやすいことも学びました。
では、いよいよ第三回では、こうした問題が起こらないようにサブドメインをどんなルールで作成するのが良いのか、考えていきましょう。
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