マーケティングオートメーションの導入と運用における課題
2019.03.01
2024.06.19
オートメーションツールが注目されています。実際に導入を指示されたもののどうしたらよいかわからない、導入したものの今一つ効果が実感できない方も多いでしょう。 ここでは導入のために解決しておくべき課題や、導入によって解決できる課題、導入したのちに想定しうる課題をみてみます。
マーケティング活動における課題
顧客の意思決定プロセスの変化
顧客が自社の製品へアプローチする方法として、Webページからの問い合わせ、展示会やセミナーへの参加、紹介等による営業担当への接触等があります。これらは基本的に製品を販売している営業担当のもとに顧客からのアプローチが届く形をとり、顧客は製品の営業担当から様々な情報を得て意思決定をしていました。
ところが最近では、Web上に製品情報が掲載され、検索すると利用者の感想まで取得できることがあります。また製品のサポートもWeb上のコミュニティで行われ、提供者と顧客の間だけではなく顧客間でもTipsを共有するようになってきています。
つまり、ほとんどの情報は顧客がWeb検索から得るようになってきており、営業担当に問い合わせないといけない情報は割引がどのくらい可能なのか、といった程度になりつつあります。このような顧客の行動の変化は、従来型の営業活動では見込み客を見つけにくくなっていることを表しています。
マーケティングオートメーションを導入することで解決できること
では、見つけにくくなっている見込み客のリストを増やす、という課題を解決するためにはどうしたらよいでしょうか。
Web検索から見込み客が来るのであれば、まず製品情報を掲載したWeb上でのアクセス状況を把握する必要があります。そして、ユーザーコミュニティやメルマガ等への登録を通じて見込み客(リード)を増やす、製品に興味をもってもらいファンになってもらう(ナーチャリング)、購入の意思決定をしてもらうというように、現状のマーケティングや営業のプロセスを見直す必要があります。
リードを増やし、興味が少しでもある見込み客への情報提供を行うことでナーチャリングがしやすくなり、確度の高い見込み客の洗い出し(スコアリング)も容易になります。これらの一連の流れが、マーケティングオートメーションによって容易に行えるようになります。
マーケティングオートメーションの運用・設計における課題
一番の目的は売上の向上
マーケティングオートメーションツールは、使う目的を明確にして設計することが必要です。
営業やマーケティングの活動において、最終的な目的は売上の向上です。その目的に向かってどういう目標を設定すべきか、営業プロセスとマーケティングプロセスを洗い出しそれぞれのプロセスの区切りでどのような数値目標をもつべきなのか、を関係者で議論して明確にしておくとよいでしょう。
そのうえで、マーケティングオートメーションのどの機能を利用するのか、導入効果を発揮できる部分を識別し導入をすすめます。
効果的な設計ができていないポイントを探す
マーケティングオートメーションは、リード情報の格納、シナリオにしたがったステップメールやLPなどのコンテンツ配信、スコアリング、ホットリードの情報提供といった機能を提供します。
一方で、リードの獲得を例にすると、問い合わせフォームやメルマガ登録を提供しているWebサイトへのアクセス数の向上や、登録しようと思わせるためのコンテンツ作成は、マーケティングオートメーションへのインプットとして利用者が作成します。
また、営業担当がコンタクトする相手の契約率を上げるためには、何をもってホットリードとするか、その定義やしきい値を決める必要があります。
したがって、マーケティングオートメーションで設計がよくないとしたら、マーケティングオートメーションで自動化する範囲を誤りインプットするデータがミスマッチしていないか、定義があいまいで実装が不十分な部分がないか、といった点を見直すと、修正すべき箇所が見つけやすくなります。
マーケティングオートメーションの活用における課題
営業担当からみたマーケティングオートメーションへの期待
営業担当がマーケティングオートメーションを使うと便利そうだと思うポイントは、顧客が成約する確度を知って対面営業の相手を絞るという点です。
そのため成約確度が高いリストを提示できることが非常に有効です。スコアリング設計やホットリードと判断する条件について、可能な限りあいまいな点を残さずに決定しましょう。また、ホットリードとなるように育てるリードの属性についても営業担当の意見を踏まえて決めましょう。
マーケティング担当から見たマーケティングオートメーションへの期待
マーケティング担当としてはマーケティングオートメーションの導入により仕事が増え、それに伴い課題も増える印象があるかもしれません。
Webサイトやメルマガを通じて、反響のあった記事やアクセス単位での行動分析がシステムで行えるようになり、またWebを通じての育成シナリオの作成を通じてホットリード化できるようになりますが、あくまでアクセス単位での行動分析です。そのため実際の契約に至るには、アクセスしている人と法人の意思決定の間を埋める必要があり、そこを営業担当が行います。
すると、営業担当とマーケティング担当のより密接なコミュニケーションが必要となり、お互いのメリットを高め合うような組織の仕組みづくりが、課題として見えてきます。
課題へのアプローチは業務プロセスの再定義も視野に入れる
マーケティングオートメーションの導入で想定しうる課題は、これまでの業務プロセス上明確な定義や指標がなかった部分に潜在的に存在していたものである可能性が高く、課題へのアプローチは業務プロセスや指標を再定義することでもあります。再定義をもとにより効果的な設計に落とし込み、人の手を必要とする業務プロセスを軽くし、コンテンツやシナリオの作成に注力して、売上のアップに役立てていきましょう。