マーケティングオートメーションはシナリオが命!間違えないシナリオの作り方とは?
2019.03.01
2023.08.03
一般に「シナリオ」は「筋書き」の意味を持ちます。マーケティングオートメーションにおける「シナリオ」とはどういうものでしょうか。ここでは、マーケティングオートメーションのシナリオの意味、作り方を解説していきます。
マーケティングオートメーションのシナリオとは
シナリオの意味
簡潔にいえば、マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは、「ユーザーとの会話の筋書き」と言い換えることができます。
たとえば、資料請求をしてくれたユーザーがいるとしましょう。そのユーザーに対してアプローチをかけたいとき、どのような手法が良いでしょうか。
興味を示してくれたユーザーにメルマガで連絡を取るのは王道です。しかし、ユーザーごとのメルマガに対する対応はそれぞれ異なります。メールを読んで終わってしまう人、商品ページのリンクをクリックする人、メールすら開かない人もいるでしょう。
こうしたリアクションの差を考慮せずに、2通目に一斉に同じ内容のメルマガを送っても興味を引く確率はグンと下がってしまうのは想像に難しくありません。
そこで登場するのがシナリオです。シナリオでは、ユーザーの行動に合わせて次に送るメールの内容を変えていきます。シナリオを作ることで、ユーザーの興味に合わせたメールを届けることが可能になるのです。
シナリオの例
シナリオの一例としては次のようなものが挙げられます。
- 資料請求してくれたユーザーにメルマガを送信
- 2通目のメルマガ
a.メールを開封したユーザー:サイトの商品紹介ページのURLを送る
b.メールを未開封のユーザー:1通目とは違った内容のメールを送る - 3通目のメルマガ
a.商品を購入したユーザーに対しては関連商品の紹介メール
b.イベントに興味を示したユーザーに対しては近隣店舗のご案内
このように、ユーザーのリアクションに合わせて複数のメルマガを用意することで、ユーザーの購買意欲を高め、コンバージョン率を飛躍的に改善することができるのがシナリオの最大の特徴です。
これをOne to Oneマーケティングと呼びます。では、シナリオはどうやって作成するべきでしょうか。
マーケティングオートメーションのシナリオの作り方
シナリオを作るときに大切なのは「誰に?」「何を?」「いつ?」「どのように?」です。
「誰に?」→ターゲティング
マーケティングにおいてターゲティングは、何よりも重要です。興味のないユーザーにアプローチをかけても成果が出る可能性は非常に低いからです。では、どのようなユーザーが対象になるのでしょうか。
- 見込み客:商品、サービスに興味、関心がある
- 新規顧客:商品、サービスを購入した
- 一般顧客:継続的に商品、サービスを購入している
- 優良顧客:高頻度で商品、サービスを購入している
- 休眠顧客:商品、サービスの購入をやめてしまった
これらのユーザーに対して、それぞれアプローチをかけていきます。
さらに、顧客は属性で分類することができます。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 興味・関心
- 居住エリア
- 既婚 / 未婚
- 子供の有無など
これらの属性でセグメントすることで、より適切なアプローチが可能になるのです。属性はユーザーのライフスタイルによって変化するものと、生まれてからずっと変化しないものに分かれます。
変化する属性に合わせて柔軟に対応できるのもマーケティングオートメーションの大きな特徴です。
「いつ?」→タイミング
ターゲティングが決まれば、どのタイミングでアプローチをかけるかを決定します。ユーザーが一番興味を引くタイミングはいつか。これを考慮しながらアプローチのタイミングを決めなくてはいけません。
商品を購入した次の日に類似商品の紹介メールが来ても、興味がわきにくいように、ある程度の期間を空けてアプローチをするということも考えられます。一方で、スマートフォンと画面保護シールのように、一緒に購入する可能性があるものはすぐにアプローチをかけたほうが効果的かもしれません。
また、メルマガで購買意欲を育てたい場合には、ある程度シリーズ化したコンテンツを提供します。こういった場合には「頻度(フリークエンシー)」についても考慮する必要があるでしょう。頻繁すぎると嫌がられますし、時間を置きすぎると忘れられてしまいます。
「何を?」→オファー
ターゲティングとタイミングが決まれば、おのずと配信する内容も固まってきます。ここでどのようなオファーをするのが最適なのかを考えましょう。当然、ユーザーが興味を引くオファーでなくてはいけません。
たとえば、
新規顧客:ブランドの魅力を紹介し、親近感を持ってもらう。そのうえで新規限定の特典をつけることで特別感を出す。
一般顧客:直近のニュースや話題の商品の紹介などで関係性を維持する。
優良顧客:購入ポイントの通知やランクアップ情報などでVIP感を出す。
休眠顧客:おかえりキャンペーンなどの情報を配信して再度戻ってきてもらう。
こういったライフサイクル軸に合わせた提案をすることで、効果的にユーザー心理に働きかけることが可能です。
「どこで?」「どのように?」→配信
最後に配信するプラットフォームを決定します。Eメール、SNS、ダイレクトメール、アウトバウンドコールなどが挙げられるでしょう。ときには店頭や訪問での直接営業も手段の1つです。
ダメなシナリオの作り方
最後に、ダメなシナリオの作り方をご紹介しておきましょう。
その1:仮説ベースでシナリオを作る
シナリオを作るときに一番やっていけないのが、仮説ベースで進めることです。
「問い合わせする前に事例は見るだろう」
「口コミ情報は大事だろう」
このようなイメージ先行型のシナリオでは、結果が出る可能性は低いです。シナリオを作成する前の仮説では、定性的または定量的なデータを収集しておく必要があります。
その2:少ないデータから仮説を立てる
データを集めるといっても、少ないデータから仮説を立てるのは危険です。母数がしっかりしていないデータで作ったシナリオは期待した結果にならない可能性があります。データを集めるスパンにも注意しておくべきでしょう。
データ収集の方法としては営業からのヒアリング(定性データ)、現場での商談による経験値(定性データ)、自社サイトのアクセス解析(定量データ)、顧客へのアンケート(定量データ)が挙げられます。
定性データ、定量データの両方を揃えることも忘れないようにしましょう。
その3:すべてのセグメントに対してシナリオを用意した
シナリオを用意するのは簡単な作業ではありません。そのため、最初からすべてのセグメントに対してシナリオを用意する必要はなく、費用対効率が良いセグメントに対して施策を打っていくべきでしょう。
たとえば、商談につながる可能性が低い見込み客に対して入念なシナリオを組んでも、どれだけの効果が出るかはわかりません。ある程度は効果が見込めるセグメントに対してリソースをかけたほうが売上改善に繋がりやすいでしょう。
まとめ
マーケティングオートメーションのシナリオについて解説してきました。シナリオ作成では「誰に?」「何を?」「いつ?」「どのように?」を常に意識し、ユーザーにとって一番有益な情報コンテンツを配信するように心がけましょう。また、シナリオ作成には定性データ、定量データの両方から仮説を立てることが重要です。
シナリオの策定はユーザー属性の解析、仮説をもとにアプローチを決定するなど、かなりの人的リソースが必要になります。会社によっては日々の業務をこなしながら、シナリオの作成が難しいケースもあるでしょう。そういった場合は、コンサルタントに依頼することも検討することをおすすめします。