マーケティングオートメーションツールの比較ポイント5つ
2019.03.01
2024.06.19
マーケティングオートメーション(以下MA)ツールの種類はさまざまですが、運用して成果を上げるためには知識や経験が必要になるMAツールも少なくありません。そのため、MAの導入では、事前に各ツールの特性を慎重に比較する必要があります。
そこで今回は、MAツール選びに役立つMAツールの比較ポイントや注意点について、詳しく解説していきます。
マーケティングオートメーションツールの機能
MAツールには、具体的にどのような機能が備わっているのでしょうか。MAツールを比較する前に、主な機能を確認しておきましょう。
リード情報管理
自社の商品やサービスに興味をもっているリード(見込み顧客)を一元管理できる機能です。企業名や役職といった基本的な情報のほか、Webサイトの閲覧状況やセミナー参加状況なども含めた総合的な管理を実現します。
シナリオ設計
MAツールでは、対象とするリード(ターゲット)、タイミング、マーケティング施策までの流れを「筋書き」にできるシナリオ設計機能があります。あらかじめシナリオを設定しておけば、MAツールが対象のリードに最適なタイミングで自動的に施策を実施します。
シナリオは、誰に(ターゲティング)、何を(オファー)、どのように(配信)が設計の軸となりますが、MAツールを使えば、下記のようにリードの反応に応じた「シナリオの分岐」も可能です。
↓
3日後(任意に設定したタイミング)
↓
メールを開封したリード→セミナーの案内メール配信
メール開封&Webの閲覧をしたリード→電話、営業活動
メール未開封→メールの再配信
このように、一連の流れを自動化できるので、人的コスト削減にも役立ちます。ただし、開封率や回帰率を上げていくためには、自社でPDCAを回していくことが肝心です。「シナリオの完成=完全自動化による売上向上の実現」ではないので注意してください。
メール配信
設計したシナリオに基づいてメールを配信する機能です。MAツールによっては、ABテスト配信やステップメール配信にも対応しています。テキストメールのほか、HTMLや絵文字に対応したツールもあるので、チェックしてみましょう。
MAツールを使えば、「メール開封率」や「メールから自社サイトへのクリック率」なども把握できるため、顧客の興味度合に応じたマーケティング活動が行えます。
スコアリング
各リードの「見込み度の高さ」をスコアとして算出し、可視化する機能です。スコアリングには主に2種類があります。
- 外面的情報
自社の製品やサービスなどに対する過去の取引履歴を元とした業種や地域、職種、役職などの情報を分析します。 - 内面的情報
質問フォームから寄せられた問い合わせ内容などからリードを評価していきます。スコアリング難易度が高いのは、この「内面的情報」です。内面的情報に対するスコアリングは、下記のようなイメージになります。
セミナーの参加:5点
メールのクリック:1点
各アクションによる合計点数が基準点数を超えたリードは、MAツールが「ホットリード」として自動的に抽出します。スコアリングの項目や点数の設定が難しいので、MAツールのなかでも扱いに高いスキルを要する機能です。
Webページ作成
リードの入口になるランディングページのほか、セミナーの申し込みや各種問い合わせに使うフォームページを作成できる機能です。
Web行動解析
リードが自社Webサイトのどのページに、いつ、どのくらいの時間滞在していたのかなどを可視化します。
マーケティングオートメーションツールの比較ポイント
MAツールの比較ポイントを知っていれば、導入後の運用失敗という悲劇を避けることができます。ここでは、特に重要なMAツールの比較ポイントを5つご紹介します。
ポイント1:利用できる機能をチェック
目的に応じた機能を選ばなければ、売上の向上には結びつきません。たとえば、放置気味のリードを活用したいならリードナーチャリングに長けたツールを、リードの総数が不足しているならリードの獲得にすぐれた機能を持つMAツールが必要です。
ポイント2:使いこなせるかどうか
多機能なMAツールを導入しても、使いこなせなくては意味がありません。どんなに高価なMAツールでも、運用体制や社員の知見がなければ無駄になってしまいます。MAツールの活用に不安がある場合は、確保できる人的リソースや、マーケティングレベルの正確な把握からはじめてみましょう。
MA導入にあたって把握しておきたい内容
・データマネジメントと情報の分析能力
・コンテンツの企画やサイトデザインのスキル
・進行管理と調整能力
・日本語に対応していないツールの運用可否
MAで使いこなせない機能の第1位は「シナリオ設計」、第2位は「スコアリング」(※)となっています。機能を使いこなせず失敗しないためには、導入前のシミュレーションなども効果的です。
また、導入検討時点で自社内の誰が、どの程度の時間や工程をかけてMAツールを運用していくのかも想定する必要もあります。
※参考サイト エムタメ!:MAで使いこなせない機能
ポイント3:サポート体制の確認
各ツールのサポート体制は、MA導入前にチェックしておきましょう。ベンダーやコンサルティング会社などによっても異なりますが、サポートはメールなのか電話なのか、24時間対応してくれるのかなど、具体的なサポート内容の比較も重要です。
サポート体制の確認をしておけば、下記のような失敗を防げます。
- サポート体制があるMAツールを導入してみたら、サポートコミュニティーがあるだけだった
- サポートは基本的なツールの使い方だけで、マーケティング施策の指南まではしてくれない
MA運用が軌道に乗るまでには、どうしても時間がかかります。自社の運用体制やレベルに応じたサポート体制は、MA導入を成功させるためには必要不可欠です。
ポイント4:BtoBかBtoCか
MAツールは主に「BtoB」と「BtoC」、それぞれに適した特性を持つツールに分けられます。商品やサービスの購入に組織的な意思決定が必要になるBtoBでは、契約が成立するまで数か月かかるケースも少なくありません。衝動買いも珍しくないBtoCとアプローチ方法が同じでは、売上向上に繋がらないのです。
BtoBとBtoCでは、1日あたりの問い合わせ件数や、商品に興味をもっているリードの総数も違うため、取り扱うデータ量も異なります。そのため、MAツール選びでは、自社に適した特性があるのかどうかの比較も重要になります。
ポイント5:トータルコスト
MAツールの比較では、ランニングコストも意識しなければいけません。なお、MAツールの月額料金は従量課金制が一般的です。アクセス数や管理する顧客データ数、ログインユーザー数などによって、毎月の費用は異なってきます。そのため、保有しているリード数や、導入後にどの程度までマーケティング施策を行うのかを検討してから、見積もりの依頼をしてください。
ただし、費用だけを重視してMAツールを選ぶと、運用に失敗する可能性が高くなるので注意が必要です。MAツールの比較で重要なのは「費用」ではなく、あくまでも「費用対効果」です。
低価格なツールでも適切なサポートを受けることができなければ、人的コストがかさんでしまうでしょう。逆に、高価なツールでも目的に応じた機能や充実したサポート体制が用意されていれば、大きな成果に繋がりやすくなります。
MAツールの導入前に正確な効果を予測するのは難しいですが、MA導入によって削減が期待できるコストや売上予測を元にしながら費用を決めていきましょう。
マーケティングオートメーションツールの比較で失敗しないために
ここでは、MAツールの比較検討で失敗しないための注意点を解説します。各ツールの機能やスペックだけを頼りにしていては、自社の戦略に適したMAの運用はできません。
とりあえず導入しようとしない
MAの導入前には、自社の全体的なマーケティング戦略を明確にすることが大切です。
- どのようなコンテンツでターゲットをナーチャリングするのか
- マーケティング部門とセールス部門はどのようにリンクさせるのか
- スコアルールの定義
上記のような戦略があやふやであれば、導入直後の運用断念もありえます。まずは、プロセスごとに現在の施策を確認し、これまでの成果を把握しましょう。こうすることで、改善を要するプロセスが見えてくるはずです。
どの段階に問題があるのかわからない場合は、以下の4つに分けて考察してみてください。
- リードジェネレーション:潜在顧客の興味を獲得する
↓ - リードナーチャリング:獲得した見込み客に情報を提供して、自社の製品やサービスに対して、さらなる関心を抱いてもらう
↓ - リードスコアリング:育成した見込み顧客を、属性や購買意欲などによって分類する。購買意欲の高い見込み顧客のリストを営業部門に渡す
↓ - リード管理:リードの情報を、活用しやすく正確なデータベースにする
MAツールの機能やスペックを比較検討をする前に問題点を洗い出し、MA導入の目的を明確にすることが肝心です。
全ての自動化はできない
「オートメーション」と名前が付いていますが、MAによる完全自動化はできません。運用段階では、ほぼすべての工程で人の手が必要になります。完全自動化を期待すると、人的リソースが不足して運用に失敗します。「全自動」がMA導入の主な目的にならないように注意してください。
自社の状況に応じたツールの導入を!
自社の状況や目的に合ったMAツールを選べば、効率的なマーケティング活動と売上向上に繋がります。ただし、MAは魔法のツールではありません。「多機能だから」、あるいは、「大手企業が導入しているから」を理由にMAツールを選べば、導入失敗に終わる可能性は高いでしょう。
まずはマーケティング戦略の明確化や人材の確保をしたうえで、さまざまなMAツールのなかから自社に適したMAツールを選んでみてください。