MAツールを導入するメリットは?概要やツールの活用方法を紹介
2019.03.01
2023.08.03
マーケティング業務の効率化に役立つマーケティングオートメーションツール。名前は聞いたことがあるけれど具体的にはよくわからないという方も多いのではないでしょうか?そこで、どんなツールなのか詳しく解説していきます。導入するとどんなメリットがあるのか、活用方法や事例もご紹介しますのでぜひご参考にしてみてください。
MAは顧客開拓を効率的にできる仕組み
MAはマーケティング業務の効率を上げるために開発されました。人的な作業を自動化することで、顧客を開拓するために必要なマーケティング活動が円滑になります。
マーケティングオートメーション(MA)とは?
マーケティングオートメーションは、英語表記「Marketing Automation」の頭文字をとって「MA」と呼ばれています。簡単にいえばマーケティングの自動化という意味で、マーケティング業務を自動化するための仕組みや使用するツールのことです。
マーケティングにとって重要なのは新規顧客の開拓。ターゲットとなる見込み客の抽出や育成をしたくても、人手が足りない悩みを抱えていませんか?限られた人員で作業をするなかで、データ入力やメール送信、メルマガ作成などの業務に時間を取られているケースは少なくありません。
効果的なマーケティングをするためには、見込み客がどんなことに興味や関心を持っているか分析し、求めている情報をベストなタイミングで提供する活動が必要です。しかし、ルーチンワークに追われていると、見込み客のフォローまで手を回すのは難しいもの。
そこで役立つのがMAツールです。人手を割いているルーチンワークを自動化することで、マーケティングの効率を上げられるのが大きなメリット。精度の高い情報を営業部へ引き渡して新規顧客獲得に繋げるなど、企業に貢献するマーケティング活動ができます。
MAの導入が進められている背景
MAは1990年代にアメリカで誕生し、インターネットの広がりとともに市場も大きくなっていきました。2000年代にはインターネットが高速化し、クラウドのツールも登場。2010年代に入るとデジタルマーケティングの需要が高まり、MA市場が拡大していきます。
日本でもインターネットが普及したことで、企業ではメールによる顧客へのアプローチが可能になりました。さらにスマートフォンの登場によって、個人が手軽に情報を入手できる時代へと進化。顧客側からも簡単に企業へアクセスできるようになったことでMAの効果も高まっています。
矢野経済研究所が2017年に発表した調査結果によると、2016年のMA市場規模は245億円を突破しました。2017年には300億円を超え、前年比23.0%増と予測。今後もAIの活用が進むことで市場は拡大傾向にあると考えられています。
また、2017年におこなったNexalの調査結果によると、上場企業のMA導入率は4.3%。MAを導入している業種の割合は、「情報通信・広告・マスコミ」が最も多く、「製造・機械」、「卸売・小売業」と続きます。
導入率で見ると、「情報通信・広告・マスコミ」が1.33%となっているほか、「人材派遣業」や「教育・学習支援業」も導入率1%を超えています。
SFA・CRMとの違いとは?
MAのほかに企業で導入されている代表的なツールが「SFA」や「CRM」です。MAはマーケティング業務の自動化、SFAは営業業務の管理ツール、CRMは顧客の関係も含めた情報管理ツールと目的が異なります。SFAとCRMについて詳しく見ていきましょう。
SFAはセールスフォースオートメーションのこと。英語表記「Sales Force Automation」の略称です。おもに営業に携わる人の活動をサポートするツールとして使われます。営業担当者が獲得する顧客情報は企業にとって重要なデータ。
営業担当者個人がデータを管理してしまうと、適切な更新がされなかったり紛失したりする恐れがあります。また、見込み客のフォローができていないとニーズが把握できずチャンスロスになることも。
そこで、商談情報を一元化するために登場したのがSFAです。データ管理のほかに、ルーチンになっている事務作業の効率化にも役立ちます。案件の進捗や情報を共有することで、個人ではなく営業部全体での管理が可能です。
CRMは、カスタマーリレーションシップマネジメント。英語表記の「Customer Relationship Management 」を略しています。顧客と企業の関係構築を目的としたツールのことで、組織全体で使用するのが特徴的です。
たとえば、コールセンターやサポートなどの顧客対応をする担当者が得た情報を加えることで、顧客満足度の向上に役立ちます。購入商品やサービス内容、サポート履歴、顧客からのクレームや要望などの情報を組織で共有。顧客に密接した情報管理ができるツールです。
btocとbtobの違いとは?
「btoc」はBusiness to Consumerの略語で、企業と消費者(個人)の取引を意味します。「btob」はBusiness to Businessの略語で、企業と企業の取引という意味です。MAはbtocマーケティングとbtobマーケティングで活用されていますが、それぞれ目的が異なります。
btocマーケティングは、インターネット上の広告からWEB注文を獲得するのが一般的な施策です。見込み客をできるだけ多く取り込み、商品を購入してもらう目的で活用されています。
btocマーケティングでは、企業の営業担当者が顧客に対応するのが一般的。イベントやセミナーに参加した人の名刺、営業先での名刺交換、資料請求や問い合わせ元など、さまざまな場面で顧客情報を獲得しています。
獲得した情報のなかからターゲットとなる見込み客の抽出や育成をおこない、商談に有益な情報を営業部に引き渡すために活用されているのがMAツールです。
MAを導入するメリットを事例で紹介
続いてはMA導入によるメリットについて見ていきましょう。具体的にイメージできるように、事例をもとにご紹介していきます。
メール配信システムとホームページの連動を実現
エンジニアリング会社では、自社開発したメール配信システムに限界を感じてMAツールの導入を決定しました。自社のメール配信システムでは一度に配信可能なメール数に限りがあり、数百名に分けて何度もメールを配信する状態が発生していたのです。
過去には、展示会の直前案内メール配信の途中で、準備のために会場入りしなければならず、メール送信が終わっていない状態で展示会が開催されたことも。また、送信したメールの効果が測定できず、お礼のメールから次回の情報へつなげる誘導もおこなわれていませんでした。
MAツールを導入してからは、展示会出展のメールに詳細のリンクを設定し、配信メールからホームページへの誘導を実現。また、展示会開催までの配信頻度を決めたり配信対象によってメール内容を変更したりと、細やかな設定ができるようになったのもメリットです。
その結果、展示会での見込み顧客の獲得数が前回比で130〜150%に増加しました。展示会場での活動にもMAツールを活用。スマートフォンで撮影した動画を出展レポートとしてアップし、配信メールで告知するなどホームページと連動したコンテンツに成長させました。
MAと顧客管理システムの連携によりFC加盟店が増加
リフォームや不動産の事業をおこなう企業では、自社の技術を広めるためフランチャイズ展開を始めたことから、MAと合わせて連携する顧客管理システムを導入しました。
導入後は見込み客がフランチャイズ加盟店になるまでのシナリオを作成し、メールの開封率やリンクのクリック率から顧客をスコアリング。見込み客を明確化し、ベストなタイミングでベストな情報を提供をするためにMAツールが活用されています。
フランチャイズ加盟店獲得のためには、見込み客を説明会へ誘導しなければなりません。MAツールを使い、特定のページを閲覧したら担当者へ通知がいくように設定。Todoが自動発行されアプローチする仕組みが確立されました。その結果、説明会の参加者が208%増加、FC加盟店も150〜200%増加と大成功を収めます。
また、MAツールと連携した顧客管理システムによって、業務の効率化とともに顧客情報を全体で共有できるようになりました。手作業で入力していた作業が自動化し、時間が削減できただけでなく人的ミスも防げるようになったのもメリットです。
さらに、名刺獲得の場面では、スマートフォンで撮影したデータが瞬時に顧客管理システムへ入力され、MAツールと自動的に連携。名刺管理とスピーディーな顧客フォローが実現できるようになりました。
手動業務の自動化と顧客対応のスピードアップ
人材支援育成や出版事業を展開している企業では、顧客データの重複や営業展開へのスピードに課題を抱えていました。外注のメルマガ配信にも1週間以上かかっており、スピード化を図るためにMAを導入。
もともとデータ管理をしていたものの、顧客情報の名寄せができていないため重複が発生していました。MAツールを取り入れた結果、メールアドレスをキーにして情報を併合することに成功。また、手動で時間がかかっていた各フォーム作成も簡単にできるようになりました。
営業との連携もMA導入によって実現したことの1つです。併用している顧客管理システムによって、Webの問い合わせがあると営業にリアルタイムで自動通知が届く仕組みを確立。営業アサインが自動化されたことで、通知を受けた営業担当が外出先からそのまま顧客のところへ訪問できるようになったのです。
顧客の閲覧ページから関心を持っている商品を把握できるため、必要な資料を持参することも可能に。スピーディーな対応が受注へとつながっています。
宿泊予約のキャンセル対策と顧客対応に効果を発揮
接客業にもMAを導入するメリットがあります。老舗温泉の旅館では、団体客から個人客へとターゲットをシフト。Webマーケティングを取り入れて予約件数アップにつながったものの、キャンセル数も上昇していました。
限られた人数で多様化する顧客へサービスを提供する負担も大きく、リピート率アップと顧客対応のためMAを活用することに。MAツールを使うと顧客ごとの状況が簡単に把握できるようになりました。
過去の傾向からベストな仮押さえ期限の設定や、確認メールの自動配信も可能に。キャンセルが発生しても次の対策を立てる余裕が生まれました。宿泊客には滞在前からサービスを開始。以前は当日に来館してから顧客対応をするのが基本でしたが、宿泊日の前に観光やイベント情報を案内することで人員を割かずに済みます。
顧客の属性に合わせた情報提供や、新規とリピート客で提供内容を区別するなど、顧客にとって有益な情報を届けられるのもメリットです。また、データが蓄積されていくと長期に渡るリピート客の存在が判明。顧客にとって生涯の宿になるべく、適切なコミュニケーションを図るためのツールとして利用されています。
MAツールの活用方法
MAツールの概要やメリットがわかったところで、最後に活用方法についてご紹介します。MAツールを選ぶときの注意点も解説しますのでご参考にしてみてください。
代表的なMAツールと特長を紹介
MAツールで多くの企業に導入されているのが、toBeマーケティングが導入支援する「Pardot(パードット)」です。セールスフォース・ドットコム社の提供による「Salesforce(セールスフォース)」と一体型になっています。
Salesforceは、顧客の情報を共有できる統合CRM(顧客関係管理)プラットフォームです。Pardotとの連携により、顧客に適切なタイミングで要望に合わせた営業活動が実現可能に。マーケティングとセールスを融合させることで、営業の効果を高めることに役立てられます。
たとえば、トラッキング機能とスコアリング機能を活用すると、商談につながる確度が高い見込み客の抽出が可能です。商談から受注に至ったかどうかを一元管理できるので、ROIを測定し投資対効果を把握できます。
また、商談状況や属性、興味や関心を持っている分野を分析することで、顧客一人ひとりに合わせたメールのシナリオを設定。理想的なカスタマーエンゲージメントを構築できます。さらに、Pardotには導入から定着化までのサポートがあるのも大きな魅力。導入後は活用支援も利用できます。
MAツールを使ってできること
MAツールを導入すると、さまざまな角度から顧客の行動を把握できます。たとえば、顧客がいつどのページを訪れ、どれくらいの時間閲覧していたかを詳細にトラッキングすることで、興味の対象や深度が分析できます。
閲覧状況に加えて、メールの開封状況やリンクをクリックした状況も記録。活動記録からスコアリングをおこなうと、見込み度合いを簡単に把握できます。また、顧客の属性分析によって格付けを分類することで、セールスターゲットに適しているかの判定も可能です。
見込み客の抽出後は、育成のためのコミュニケーションとして、メール配信やステップメールの機能も搭載。シナリオを設計することで、ベストなタイミングで営業活動をかけられるようにサポートできます。
ほかにも、施策がどれくらい貢献したか、見込み客の獲得単価や受注金額、投資対効果の自動算出も可能。本当の施策効果を知ることができるのです。
MAツールを選ぶときのポイント
さまざまなMAツールから自社に適したものを選ぶにはどうしたらいいのでしょうか。失敗しないためのポイントをご紹介します。
MAツールの運用には、知識や経験を持つ人材が必要です。不安がある場合は、導入時や導入後の活用支援を実施しているMAツールを選ぶのがポイント。事前にサポート内容を確認しましょう。
多機能なMAツールを導入しても、使いこなせないと意味がありません。スタッフの人数やスキルに合わせるのもポイント。企業が抱える課題をクリアするために必要な機能を備えたMAツールを選びましょう。
また、MAツールを活用するためには顧客情報が不可欠です。イベントやセミナー、展示会など、顧客情報を獲得するための集客機能を持っている企業はMA導入に向いています。予算内で複数のMAツールから選択する場合は、メールマーケティングやSNS連携など求める機能を網羅しているか比較してみましょう。
MAツールで理想的なマーケティングを実現
MAツールの概要や活用についてご紹介しました。膨大なデータのなかから見込み客を抽出し、行動の把握や育成をするのは新規顧客獲得に有効な手段。しかし、適切なタイミングを図って求める情報を提供したり、ステップに合わせてメールを配信したりするには多くの人手が必要です。
MAツールを使えば、人的なマーケティング業務を自動化し効率を高めることが可能に。精度の高い情報を営業に引き渡し商談成立をサポートするマーケティングが実現できます。本記事をご参考に導入を検討してみてください。