【活用事例 3選】Account Engagement (旧 Pardot)グレードのベストプラクティス
2022.09.07
2022.09.27
今回はAccount Engagement (旧 Pardot)のグレーディングについて解説していきます。この記事を見ると、以下のことが分かるようになります。
- グレーディングとスコアリング
- グレーディングの設定をする際のベストプラクティス
- BtoB、BtoCの活用事例
- 活用におけるポイント
グレーディングとスコアリング
まず、Account Engagement (旧 Pardot)におけるグレードとスコアの違いをご説明します。
スコアは、「見込み客が自分たちのサービスや商品に対してどの程度関心を持っているか」、顧客の行動から見た時の判定指標です。
基準は、見込み客が主にどの製品のページを見たのか、どのようなサービスのページを見たのかといったWeb上での行動です。「このページを何回見たので何点を追加」などと見込み客を点数で評価していきます。
顧客の行動に合わせて数値がどんどん加算されていく点が、グレーディングと大きく異なるところです。
どの見込み客にアプローチするかを考えるにあたっては、自社への関心度がはっきり点数で表されるスコアの活用がメインとなるかもしれません。
しかし、同じスコアでも、自分たちがどの程度関心を注ぐべきかは、見込み客の属性によって異なります。なぜなら、その見込み客がターゲットとしてふさわしいかどうか=自社商品・サービスがフィットしているかどうかは、会社の規模、立地条件などの要因で変わってくるからです。その顧客とのフィット感をアルファベットで表したものがグレードと言えます。
グレーディングとは
グレーディングでは、役職や会社の規模、立地条件などの属性情報から、その見込み客と企業の商品やサービスがどれだけフィットしているかを評価します。
図のように、左側から F⇒D-⇒D、右の方にいくとA⇒A+と、FからA+まで13段階で評価できます。A+に近づくほど、属性が自社の商品・サービスにマッチしており商談確度が高い、関心を注ぐべき重要な見込み客ということです。
では、どのようにして13段階の評価を判定するのでしょうか。
そこで必要なのが「プロファイル」の作成です。Account Engagement (旧 Pardot)では、「プロファイル」の設定ページから自社に合わせた評価項目の設定をしています。プロファイルを作成することで、会社にとって不可欠な条件に基づいて見込み客をグレーディングすることができます。
また、あらかじめ決めた評価項目の条件に合致した場合は、最大3段階、グレードのアルファベット評価をプラス・マイナスに動かすことが可能です。とても重要な項目であれば3段階(3/3)評価を上げるよう設定し、それほどでもないが少し評価をしたいのであれば1段階(1/3)上げるようにするなど、13段階の中で動いていきます。
例えば、課長職に2/3(つまり2段階)プラス評価を設定していた場合、初期値D評価の見込み客が課長職であれば、D評価から2段階上のC-評価に変わります。評価のプラス・マイナスは、見込み客一人ひとりのページか、完了アクションかどちらかで実行していきます。
次は、評価項目と評価基準を決める際のポイントを見ていきましょう。
ベストプラクティス
グレーディングのベストプラクティスをいくつかご紹介します。まずは、ベストプラクティスを考えるための3つのポイントです。
1つ目、重要な項目は3つから4つに絞りましょう。評価項目の設定が多すぎると分析する時に迷うことがあるため、最初は重要な評価項目の数を抑えておいた方がいいでしょう。
2つ目は、それぞれに対して評価基準を3段階で設けることです。
そして3つ目は、再評価基準とその頻度です。
評価項目例としては役職、業種、業界、企業サイズ、新規か既存か、上場なのか非上場なのか、住所、売上高、資本金、利用サービスが挙げられます。ここまでがいわゆるBtoB向けの項目です。
BtoCの場合は、年齢や性別、趣味、嗜好、家族構成、ワークスタイル、余暇の過ごし方、等、個人の属性が挙げられます。ワークスタイルの項目は、昨今のコロナの影響により、Account Engagement (旧 Pardot)の中で今後聞くべき項目になってくる可能性があるため注目してみてください。
まずこのような評価項目の中から重要な項目を絞り、次にそれぞれに対する評価基準を決めていきます。
例えば、役職、住所、売上の3つを重要な評価項目として設定したとします。
役職の中で、部長であれば3/3、つまり3段階アップさせる評価、課長であれば2段階評価、係長であれば1段階評価などと基準を決めます。
次に住所です。一都七県の場合は2段階評価、政令指定都市であれば1段階といった基準が考えられます。
最後に売上の場合、売上が〇〇円以上なら1段階評価などと考えていきましょう。
このように評価項目とそれぞれの評価基準を設定したら、最後に再評価の基準やその頻度を決めておきましょう。
ここまで、グレードの解説と設定のポイントをお伝えしてきました。
次からは、実際の活用事例を見ていきましょう。
【活用事例】BtoB向け業界別評価項目と判定基準
BtoB向けの活用事例をご紹介します。図の評価項目と判定基準は、IT やソフトウェア、情報処理業界をモデルとしたPOSシステムを運用開発している企業の設定例です。
こちらの企業では、評価項目を業種、役職ランク、業種分類、所在地と4つ設定しています。
まずは業種です。POSシステムの運用なので、卸や小売業、飲食店などは他の業種より評価が高く、見込み客がこれらの業種に合致した場合は2段階評価を上げるよう設定しています。製造業や金融保険業でもニーズがあるので1段階評価を与えています。
次に役職ランクです。こちらの企業はSansanを導入しており、役職ランクと呼ばれるSansanのカスタム項目で判定した『役員級』『本部長級』『部長級』などのデータが連携されています。なぜこの設定をしているのかというと、大企業とスタートアップの企業では役職の位置づけが大きく異なる場合があるためです。
Sansanで判定させたデータをもとに、部長級、課長級で2段階評価を与えています。
なお、Sansanを連携していない場合、Account Engagement (旧 Pardot)やSalesforceの標準項目においては「役職ランク」ではなく「役職」という項目があります。
職種分類では営業や営業企画などがありますが、その人がどのような職務を担当しているかでフィット感を測ります。
最後に所在地です。POSシステムの運用にあたり、なるべく本社から近いところを優先的に評価しています。
【活用事例】BtoC向け業界別評価項目と判定基準
次にBtoC向けです。こちらの図の評価項目と判定基準は、不動産売買 や不動産仲介業界をモデルとした、東京近郊の新中古物件を取り扱いしている企業の設定例です。
東京近郊の新中古なので、都道府県では東京を中心とした神奈川・千葉・埼玉で評価をします。細かく見ると、世田谷、練馬、太田、江戸川、その他府中や調布など、なるべく物件が多い所とニーズがある所に対して評価を与えています。
また、見込み客がオーナーである場合、築年数も評価の対象にしています。
更に、家族構成、世帯主と配偶者など、ニーズや問い合わせが多い家族構成に対しても評価をしています。
【活用事例】BtoB,BtoC向け業界別評価項目と判定基準
最後に、BtoBおよびBtoC向けのケースとして、サブスクリプション型のサービスで飲食物を提供している東京の企業の例です。
BtoB向けであれば、やはり従業員が多いと飲食物もよく消費するため、従業員100名以上のところに対して3/3=3段階評価を与えています。
人数がそれほど多くない10名~29名の比較的小規模のところに対しても2段階評価を与えているのは、その企業がスタートアップでよく求人をかけているという裏のデータを基にしています。
次に所在地です。飲食物の輸送費を考慮し、なるべく東京や神奈川、また、遠方であってもオフィスが多い大阪で評価を与えています。
また、会社が独自で定める福利厚生(法定外福利)で、法人からのお問い合わせであった場合、医療や健康、育児、レクリエーションの項目に対して評価を与えています。こちらはWebのスクレイピング技術を使ってデータを抽出しています。
活用におけるポイント
最後に、グレーディングを活用するポイントとして3つご紹介します。
まず、営業のノウハウを見える化させるといいでしょう。「どの項目に対してどのような条件が揃うと自社商品・サービスとマッチしていると判断できるのか」という部分は営業が持っている情報です。グレーディングの設定時に営業に協力してもらうのはもちろんのこと、このような営業ノウハウを見える化させるツールとしてもグレーディングを活用することができます。
2つ目として、グレーディングの活用により、注力すべき顧客像を把握しましょう。マーケティング部門でペルソナを作成する際、グレーディングを使用することで、このペルソナが本当に正しかったのか、正しくなかったのであれば何がギャップを生んでいるのか、というところも把握できます。
最後に、住所や役職ランクなどの評価項目と、その評価基準は都度見直していきましょう。初期段階で設定した項目や評価基準が適切かどうか、振り返って確認してみてください。
住所を例に挙げると、初期段階で東京・神奈川のみ評価を与えていたとして、それ以外の例えば新潟からお問い合わせがあるのであれば、その新潟を評価項目のデータの中に入れなければいけません。逆に、神奈川からのお問い合わせがそこまで多くなければ、評価の比重を見直す必要も出てきます。
まとめ
今回の記事では、グレーディングについてお伝えしました。スコアリングはよく使われている傾向にありますが、グレーディングとなるとマーケティング部門の方だけではなかなか設定が難しいと思われるかもしれません。
しかし、グレーディングを使えば、スコアだけでは測ることができない見込み客のフィット感を把握することや、顧客像を把握しペルソナを見直すことや、営業のノウハウを見え化することなどが可能となります。
グレーディングを活用する際は、営業の方に協力してもらいつつ、都度振り返って基準を確認しながら活用してみてください。
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